村上 孝一/アナリストの目

NY金は急落、リスク回避とテクニカル要因で
2011/12/16 17:10:45

 ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物相場は、欧州債務危機をめぐる不安拡大を背景にリスク回避ムードが強まる中、株式・商品などのリスク資産が売られたうえ、ユーロ安・ドル高の進行が圧迫材料となった。さらに、14日には、市場で重要な下値支持線とみられていた200日移動平均線を約3年ぶりに割り込み、売り物が誘われたことから急落。中心限月の期近2月限は15日現在で前週末に比べ139.60ドル(8.1%)安となり、一時は1562.50ドルと9月26日(1535ドル)以来の安値を付けた。

 前週末開催された欧州連合(EU)首脳会議で、欧州中央銀行(ECB)の国債購入拡大が否定されるなど、足元の債務危機に対する具体的な対策は打ち出せなかったことを受け、米格付け大手のムーディーズ・インベスターズ・サービスが12日公表したリポートの中で、「すべてのEU諸国の国債格付けを来年第1四半期中に見直す可能性がある」との判断を改めて示した。前週には米格付け大手スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)がユーロ圏諸国の格下げを警告していたことで、市場ではユーロ圏諸国の格下げリスクが強まった。
 さらに、イタリアが14日実施した5年物国債入札で、落札利回りがユーロ導入後の最高水準を記録し、10年物国債の利回りも再び7%台に乗せたことから、リスク回避ムードが強まる中、金の持ち高を解消し現金化する動きや株式・商品取引で生じた損失の補填に当てる「換金売り」が活発化。また、外為市場でユーロ売り・ドル買いの動きが加速、ユーロは対ドルで1.30ドルの大台を割り込み、14日には一時、1.2946ドルと1月11日(1.2901ドル)以来約11カ月ぶりのユーロ安・ドル高水準を付けたことで、ドル建てで取引される金に割高感が高まった。

 NY金は今週の急落に対する売り方の買い戻しや値ごろ感からの買い物などで反発し、1600ドル台を回復する可能性があるものの、前述のようにユーロ圏諸国の格下げリスクがある状況では、今後もリスク回避による換金売りの動きが起こる可能性があることに加え、200日移動平均線を割り込んだことが心理的な弱材料となっており、当面も金相場の上値を抑える圧迫材料になるだろう。
 また、価格下落時に相場を支える材料として期待されている、アジアの実需筋による買い物についても、アジアの市場関係者が「ドル建て金現物価格の急落でタイやインドネシアからは旺盛な需要がみられるものの、世界最大の金消費国であるインドの需要は通貨安に抑制されている」と指摘していることも、圧迫材料になりそうだ。



 上記の展望は12月16日夕方時点に作成されたものです。

●アナリスト紹介
 第一商品(株)フューチャーズ24、村上 孝一
 現在、フューチャーズ24にて、ファンダメンタルズ分析と市況作成を担当。時事通信社、日本経済新聞社に貴金属・石油市況等のコメントを提供中。

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