村上 孝一/アナリストの目

NY金、米FRBの経済見通しに対する懐疑的な見方が支えに:2017/06/16 17:08:32

 ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物相場は、6月14日発表された5月の米小売売上高と5月の米消費者物価指数が市場予想を下回ったのを受け、為替のドル安・ユーロ高が進行したことで買われ、中心限月の期近8月限は1284.20ドルの高値を付けた。
 しかし、米連邦準備制度理事会(FRB)が6月13−14日開催した連邦公開市場委員会(FOMC)結果が、市場では金融引き締めに積極的な「タカ派的」と受け止められ、外国為替市場でドルが対主要通貨で買われ上昇したことで、ドル建てで取引される金は割高感から売られたうえ、金利の付かない資産である金にとっても売り材料となり反落。15日には一時、1252.70ドルと、5月26日(1252.60ドル)以来、約3週間ぶりの安値を付けた。

 米FOMCでは大方の予想通り、0.25%の追加利上げが決定。年内の利上げについては、最近の米インフレ指標を受け、「6月利上げで打ち止め」との見方が広がっていたが、参加者の政策金利見通しでは年内にあと1回利上げを実施するとの見通しが維持された。さらに、年内に保有資産の圧縮を開始する方針を示したことから、「タカ派的」な結果と受け止められた。
 ただ、米FRBが金融政策の目安とする個人消費支出(PCE)物価指数は、2月に目標となる2%を超えた後は2カ月連続で下回り、4月は1.7%上昇と伸び率は昨年12月(1.6%上昇)以来の小ささ。FOMC参加者の経済見通しでは、今年のPCE物価指数予測が1.6%−1.7%と前回から下方修正された。また、14日発表された米経済統計では、5月の消費者物価指数が前月比0.1%低下と市場予想の横ばいを下回り、前年同月比は1.9%上昇と昨年11月以来の低い伸び率。5月の小売売上高は前月比0.3%減と、昨年1月以来1年4カ月ぶりの大幅な落ち込みを記録。
 市場では前述の要因のほか、物価上昇要因として注目される平均時給の伸びも鈍化していることを背景に、米FRBの経済・金利見通しに半信半疑。今後発表される米経済統計でインフレ指標などに改善がなければ、FRBの見通しに対する懐疑的な見方が一段と強まることが予想される。

 NY金は目先、テクニカル上の長期的な強弱の節目となる200日移動平均線が通る1242ドル付近(6月15日現在)が下値の目処とみている。米経済統計で堅調な内容が相次いで発表されることがない限り、同水準を大きく割り込むことはないだろう。また、昨年の米大統領選にトランプ陣営とロシアが共謀して介入したとされる「ロシアゲート」疑惑を背景としたトランプ政権の先行き不安は引き続き、金相場を支える材料となり、安値は買い拾われると予想している。

 (注)上記の展望は6月16日夕方時点に作成されたものです。

●アナリスト紹介
 第一商品(株)フューチャーズ24、村上 孝一
 現在、フューチャーズ24にて、ファンダメンタルズ分析と市況作成を担当。時事通信社、日本経済新聞社に貴金属・石油市況等のコメントを提供中。

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