村上 孝一/アナリストの目

NY金、米国の物価動向が焦点に:2017/07/14 16:46:14

 ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物相場は、堅調な米雇用統計を受けたドル高・米長期金利の上昇で売られ下落。中心限月の期近8月限は7月7日に5月9日に付けた直近の安値1214.30ドルを割り込み、10日には一時1204ドルと、3月15日(1196.80ドル)以来約4カ月ぶりの安値を付けた。その後は、「ロシアゲート」疑惑を背景とした米政治不安や、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言が「ハト派的」と受け止められたことが買い材料となり、1220ドル台半ばまで上昇した。

 イエレン米FRB議長は12日、下院金融委員会の公聴会で、金融政策のカギを握る物価上昇率の低下に懸念を表明し「今後数カ月間は物価動向を注視する」と述べ、利上げの実施時期は示唆しなかった。市場では議会証言は早期の追加利上げに慎重と受け止められ、金利の付かない資産である金にとっては買い材料となった。
 また、FRB内で利上げに慎重な「ハト派」の筆頭格とされるブレイナードFRB理事は11日の講演で、FRBが年内あと1回を想定している追加利上げは「物価動向を注視し、慎重に引き上げることが望ましい」と語り、利上げを急ぐ必要はないとの認識を示した。
 目先の注目材料は日本時間14日午後9時30分に発表される6月の米消費者物価指数と、6月の米小売売上高。両統計とも5月は市場予想を下回り、前月比でマイナスとなったことから、6月も市場予想を下回るようだと、NY市場ではドル売り/金買い材料になることが予想される。また、米FRB内から物価動向に対する懸念が聞かれたことで、消費者物価指数が前月に続きマイナスになれば、年内の利上げ観測が後退し、売り玉が膨らんでいるファンド筋が買い戻しを活発化させる可能性がある。
 一方、小売売上高と消費者物価指数が市場予想通りとなれば、発表直後は売りが先行する可能性がある。ただ、物価上昇率の鈍化傾向に変わりがなければ、ファンド筋の買い戻しや安値拾いの買いに下支えられ、心理的節目となる1200ドルは維持するだろう。

 昨年の米大統領選にトランプ陣営とロシアが共謀して介入したとされる「ロシアゲート」疑惑が再燃している。
 トランプ米大統領の長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏が昨年の大統領選のさなか、民主党候補クリントン氏に打撃を与えるロシア政府の情報を提供すると持ちかけられ、ロシア人弁護士との面会に応じていたことが明らかになった。米国では「トランプ陣営が敵対国との共謀もいとわなかったしるし」(ワシントン・ポスト紙)との見方が広がり、混乱が再燃している。同問題が明らかとなった11日はNYダウが瞬間的に130ドル近く急落したが、すぐに前日終値水準まで値を戻しており、投資家のリスク回避姿勢を継続させるまでには至らなかった。ただ、「ロシアゲート」疑惑に関する問題は投資家がリスク回避に動く材料であり、今後も安全資産とされる金にとっては支援材料になるだろう。
 また、米上院共和党の執行部は7月13日、6月に採決を延期した医療保険制度改革(オバマケア)代替案の修正案をまとめた。共和党は来週にも採決に持ち込む構えだが、党内には依然として反対が多く、採決のめどは立っていない。今回も採決が延期されるようだと、トランプ米政権の政策運営能力に対する懸念が強まり、安全資産としての金需要が拡大することが予想される。

 以上のことから、NY金は14日発表される米経済統計が市場予想を大幅に上回ることがなければ、心理的節目となる1200ドルは維持するだろう。また、経済統計が市場予想を下回り、ファンド筋の買い戻しが活発化すれば、目先の上値抵抗線とみられているテクニカル上の長期的な強弱の節目となる200日移動平均線が通る1233ドル付近(7月13日現在)を突破する可能性がある。

 (注)上記の展望は7月14日夕方時点に作成されたものです。

●アナリスト紹介、第一商品(株)フューチャーズ24、村上 孝一
 現在、フューチャーズ24にて、ファンダメンタルズ分析と市況作成を担当。時事通信社、日本経済新聞社に貴金属・石油市況等のコメントを提供中。

◆ 当コラムに関するご意見・ご要望がございましたら、下記にご記入の上【送信】ボタンを押してください。


※ 当社提供の情報について
本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終判断はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスにより利用者の皆様に生じたいかなる損害についても、第一商品は一切の責任を負いかねますことをご了承願います。

ページトップ

金地金
金地金3つのメリット本日の金価格 金地金 購入・売却の手順
商品先物取引
初めての商品先物取引商品先物取引の始め方商品先物取引の税金
マーケット情報
海外商品相場国内商品相場ニュース・市況チャートアナリストの目
無料情報ツール
チャート分析ソフトDi-2モバイルサービスEメールサービス金価格メールテレホンサービスFAXサービス
商品セミナー
経済・商品セミナー講師陣プロフィール