村上 孝一/アナリストの目

NY金、北朝鮮情勢だけでは上値は限定的:2017/08/10 16:49:58

 ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物相場は、北朝鮮をめぐる地政学的リスクを背景に、投資家のリスク回避の動きで、株式が売られる一方、安全資産として金が買われたことで上昇。中心限月の期近12月限は8月9日に一時、1284.70ドルと、6月8日(1291.50ドル)以来、約2カ月ぶりの高値を付けた。

 トランプ米大統領が8月8日、「北朝鮮はこれ以上、米国を脅かさない方がいい。世界が目にしたことのないような火力と怒りに直面することになる」と強く警告した。これに対し北朝鮮軍の金絡謙・戦略軍司令官は9日、中距離弾道ミサイル「火星12」4発を同時に米領グアム島周辺に向けて発射する計画を検討していると表明。地政学的リスクの高まりに警戒感が強まったことから、「質への逃避先」である金が買われた。
 また、北朝鮮情勢を受けて、投資家の不安心理の指標となる米シカゴ・オプション取引所(CBOE)の恐怖指数(VIX)は9日、12.63まで上昇する場面があった。ただ、市場にはいずれ北朝鮮情勢は沈静化するとの見方もあることから、北朝鮮の核実験とミサイル発射リスク、フランス大統領選が警戒された4月半ばの14〜16に比べると低い水準にある。
 ただ、北朝鮮が中距離弾道ミサイル発射を計画していることから、地政学的リスクとして残ることになるだろう。また、北朝鮮は過去に記念日などの節目に合わせて軍事的挑発に出る傾向があり、8月15日の祖国解放記念日(日本による植民地支配が終結した日)、8月25日の先軍節(金正日総書記が先軍政治を始めた日)が警戒される。

 NY金は1280ドル台半ばに上昇したが、軍事衝突の危険性が一段と強まる事態にでも発展しない限り、北朝鮮情勢だけで1300ドルの節目を突破するには買い材料に欠ける。
 その材料として考えられるのは11日発表の7月の米消費者物価指数(CPI)。エバンズ・米シカゴ連銀総裁は8月9日、米メディアとのインタビューで、米連邦準備制度理事会(FRB)が想定している「年内あと1回」の利上げについて、物価動向に弱さが残れば先送りの可能性もあるとの認識を示した。米CPIがインフレの弱さを示す結果となり、市場にある「年内あと1回」の利上げに懐疑的な見方が一段と強まれば、1300ドル突破の後押しになる可能性がある。
 また、ニューヨーク株式市場の優良株で構成するダウ工業株30種平均が7月26日から8月7日まで9営業日連続で終値ベースでの史上最高値を更新し、2万2000ドルの大台を突破したことは、上値を抑える要因となったほか、金の上場投資信託(ETF)から投資資金が流出する要因にもなっている。ただ、8日に11営業日ぶりに反落した後、9日も続落となっており、調整安場面が続くようだと、上値を抑える要因から買い材料に転換し、相場を後押しすることが期待できる。

 (注)上記の展望は8月10日夕方時点に作成されたものです。

●アナリスト紹介
 第一商品(株)フューチャーズ24、村上 孝一
 現在、フューチャーズ24にて、ファンダメンタルズ分析と市況作成を担当。時事通信社、日本経済新聞社に貴金属・石油市況等のコメントを提供中。

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