長田 泰/アナリストの目

国際穀物、需給報告大豆単収引き上げがサプライズ:2017/08/12 1:10:46

 現地10日に米農務省に公表された8月の需給報告は大豆、とうもろこしともに市場予測よりも弱気な内容と受け止められた。前回発表からの主な変更点は次のとおり。

《とうもろこし》
・米国需給
16/17年度:据え置き。
17/18年度:単収が1.2ブッシェル下方修正されたことで生産量および総供給量も102百万ブッシェル下方修正された。一方、需要サイドも飼料及び輸出がそれぞれ25百万ブッシェル下方修正されたことで、結果期末在庫は52百万ブッシェルの下方修正にとどまった。
・世界需給
16/17年度 : 世界生産量が約1.72百万トン上方修正され、世界期末在庫も約1.1百万トン上方修正。生産高上方修正の主な要因はブラジルのセカンドクロップコーンの収穫状況を反映し同国の生産高が1.5百万トン上方修正されたことが大きい。
17/18年度 : 世界生産量が3.43百万トン下方修正されたが、世界の期末在庫の修正は軽微(0.06百万トン上方修正)にとどまる。

《大豆》
・米国需給
16/17年度 : 7月搾油用が10百万ブッシェル下方修正されたが、直近の輸出進捗および成約残状況を映し輸出用が50百万ブッシェル上方修正。 結果期末在庫は40百万ブッシェル減少した。
17/18年度 : 単収が1.4ブッシェル/エーカー引き上げられたことで生産量121百万ブッシェル上方修正された。単収の事前予想は上限でも据え置きだったため、1.4ブッシェルも上方修正されたことはビッグサプライズ。期初在庫の引き下げ輸出需要の引き上げはあったものの、期末在庫は15百万ブッシェル上方修正された。
・世界需給
16/17年度 : 世界生産量は微減となったが期末在庫が増加した。
17/18年度 : 世界生産量及び期末在庫は米国の生産上方修正の影響から増加した。


(ポイント)
 今回の需給報告で最も注目されていたのはとうもろこしの単収がどの程度引き下げられるかだった。事前予想では166ブッシェル程度が見込まれていたが、実際の発表は1.2ブッシェルの引き下げの169.5ブッシェルにとどまった。農務省によれば、サウスダコタ、アイオワ、ミネソタ、イリノイの単収が前年を下回った一方、ネブラスカ、オハイオは前年を上回り、インディアナはほぼ前年と変わらないという。最近の干ばつモニターによる干ばつ地域はプレーン北部の両ダコタからアイオワ、ネブラスカへと拡大していたが、この程度の干ばつでは灌漑施設が充実しているネブラスカでは単収の引き下げ要因にはならないということか。

 一方、大豆の単収については、ロイター通信の事前予想平均で47.5ブッシェル(前回48.0ブッシェル)、予想レンジ46.9−48.0ブッシェルと、今回農務省はほとんど数字を動かさないだろうと見ていたものが、とうもろこし以上の修正幅の1.4ブッシェル、しかも市場観測の逆の引き上げ方向に修正してきたことは、誰もが予想外のサプライズだったろう。農務省報告を見ると、大豆の主要生産10州で前年よりも単収が良い州はない。前年よりも引き上げられた州はいずれもマイナーな生産州であるが、前年度単収が52.1ブッシェルと今年の傾向単収48.0ブッシェルと8%以上開きがあった(とうもろこしは2%程度)ことも上方修正余地を与えていたのかもしれない。

 今回の報告で、仮に大豆の単収引き上げがなければ、とうもろこしの小幅下方修正は今後段階的に拡大するとして、発表を受けた下げ材料は短期に消化される可能性があったが、とうもろこしの世界統計の期末在庫の引き上げもあり、今回の報告が弱気な数字ということに疑いの余地はない。9月の需給報告までに改めて、今回の農務省の弱気な報告に懐疑的な見方が浮上しない限り、相場の出直りは難しいだろう。21日からプロファーマー社主催のクロップツアーがコーンベルトを視察する。まずはこのツアーの調査結果に注目したい。

(注)上記の展望は8月11日の夕方時点に作成されたものです。

●アナリスト紹介
 第一商品(株)法人部、長田 泰
 現在、法人部にて国際穀物を中心に商社顧客の取引を担当。2014年TOCOM農産物アナリスト育成セミナー修了者。時事通信、ブルームバークの国際穀物市況等にコメントを提供中。

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