村上 孝一/アナリストの目

東京金は年初来高値を更新、15年6月以来の高値:2017/09/05 15:40:34

 東京商品取引所の金相場は、北朝鮮をめぐる地政学的リスクや米雇用統計のさえない内容などが買い材料となり急伸。先限は8月28日から9月4日まで6営業日連続で年初来高値を更新し、4日には一時、4707円と、2015年6月23日(4727円)以来2年2カ月ぶりの高値を付けた。

『北朝鮮情勢』
 北朝鮮は9月3日、大陸間弾道ミサイル(ICBM)用水爆の実験を実施。核実験は昨年9月9日の建国68周年に際し実施して以来1年ぶり6回目。北朝鮮が水爆と主張する実験は2回目で、爆発の威力は過去最大規模。北朝鮮は7月4日と28日にICBM「火星14」の発射実験を強行。8月は29日に中距離弾道ミサイル「火星12」の発射訓練を実施し、ミサイルは日本上空を通過。そして9月3日に核実験と、核・ミサイル開発に拍車が掛かっている。
 北朝鮮による6回目の核実験を受け、米国は5日にも国連安全保障理事会の理事国に対北朝鮮追加制裁の決議案を配布する方向で調整に入った。ベイリー米国連大使は4日に開催された安保理緊急会合で「可能な限り最強の制裁措置」の必要性を強調、週内に決議案の交渉を行い、11日の採決を目指す考えを示した。決議案の交渉では、北朝鮮の石油輸出制限が焦点となる見通しで、安保理で拒否権を持つ中国とロシアの対応がカギを握る。
 また、韓国国防省が3日、北朝鮮がICBM再発射する可能性や、7回目の核実験の準備ができているとの見方を示した。一方、米国と韓国は北朝鮮のさらなる挑発をけん制するため、米軍の原子力空母や戦略爆撃機の朝鮮半島沖への派遣について協議に入った。

『8月の米雇用統計』
 9月1日発表された8月の米雇用統計は、景気動向を反映する非農業部門就業者数は前月比15万6000人増加と、市場予想の18万人増を下回ったうえ、6月と7月の増加幅も下方修正された。ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長が適切と考える「7万5000〜12万5000人」を上回っているうえ、8月の統計はその後に上方修正される傾向にあることから、米FRBが9月19−20日に開催する米連邦公開市場委員会(FOMC)で資産縮小計画を発表するには十分な勢いを維持しているとみられる。
 しかし、物価上昇の先行きを示すとして注目されている平均時給は前月比0.1%上昇と、市場予想の0.2%上昇を下回り、前年同月比では4月から5カ月連続で2.5%上昇にとどまっている。雇用情勢の改善にもかかわらず、消費を左右する賃金の伸び率が鈍化していることは、物価にも影響を与えており、7月の個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比1.4%上昇と、米FRBが目標としている2%を下回る状況が続いている。
 こうした物価と賃金の伸び悩みにより、CMEグループのフェドウォッチによると、9月1日時点で年内にあと1回利上げする確率は39.5%にとどまっている。

『金需要動向』
◆金ETF
 ニューヨーク証券取引所に上場されている世界最大規模の金ETF「SPDRゴールド・シェア」現物保有量は、7月の大幅減少から一転、8月は前月末比24.55トン増加と、月間としては今年2月(42.10トン増加)以来の増加量を記録。9月1日には前日比14.78トン増加の831.21トンと、7月12日(832.39トン)以来1カ月半ぶりの高水準となったうえ、1日の増加量としては2016年7月5日(28.81トン増加)以来の大きさを記録。
◆インドの金輸入
 トムソン・ロイター傘下の貴金属調査会社ゴールド・フィールズ・ミネラル・サービシズ(GFMS)社の暫定的なデータによると、8月のインドの金輸入は国内需要の低迷にもかかわらず、輸入業者が韓国からの免税輸入を増やしたことで、前年同月の22.3トンから推定60トンと約3倍に増加した。
 インドは金の輸入に10%の関税をかけているが、韓国のように2国間自由貿易協定(FTA)を締結している国には適用されない。これらの国からの免税輸入を防ぐために、インド政府はそれまで12.5%の消費税を課していたが、7月1日の新物品税(GST)導入に伴い廃止された。GFMSのアナリストは「輸入税を支払う必要がないので、貿易業者は韓国から約20トンを輸入した」と述べた。ただ、インド政府は8月25日から韓国からの金輸入を制限するとしており、今後は韓国からの輸入は減少することが予想される。

『金相場展望』
 東京金の先限はここ最近の上げが急ピッチであるうえ、相対的指数が相場の買われ過ぎを示す70を大幅に上回っていることから、買い方の手じまい売りや新規売りに圧迫される可能性がある。ただ、前述の要因や米国の政治不安が支援材料となり、現在の上昇トレンドを継続することが予想され、上値目標は2015年2月以来となる4800円突破とみている。

●アナリスト紹介
 第一商品(株)フューチャーズ24、村上 孝一
 現在、フューチャーズ24にて、ファンダメンタルズ分析と市況作成を担当。時事通信社、日本経済新聞社に貴金属・石油市況等のコメントを提供中。

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