村上 孝一/アナリストの目

金相場、北朝鮮リスク後退で売られる:2017/09/12 15:40:56

 ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金相場は、北朝鮮情勢や大型ハリケーン「イルマ」の米本土上陸に対する警戒感から、安全資産として買われ上昇。中心限月の期近12月限は前週末9月8日に一時、1362.40ドルと年初来高値を更新。ただ、「北朝鮮が9月9日の建国記念日に合わせて弾道ミサイル発射など挑発行動に出るのではないか」との警戒感が強まっていたが、新たな挑発行動はみられなかった。さらに、米フロリダ州に上陸したハリケーン「イルマ」が勢力を弱めたことで過度の懸念が後退し売られ、週明け11日には1330ドル台前半に下落。

 国連安全保障理事会は日本時間12日午前、北朝鮮への原油・石油製品輸出に上限を設ける米国作成の対北朝鮮制裁決議を全会一致で採択。ただ、米国は当初、戦略物資である石油の禁輸や、金正恩朝鮮労働党委員長の渡航禁止や資産凍結の制裁対象とする「最強の制裁」を求めていたが、中国とロシアとの交渉で譲歩し、いずれの措置も見送られた。
 最大の目玉だった原油の全面禁輸が見送られたことが、北朝鮮リスクの後退につながり、NY金は12日のアジア時間帯での取引で一時、前日比8.70ドル安の1327ドル(日本時間12日15時15分現在)の安値を付けた。
 目先は国連安保理決議に対する北朝鮮の対応が注目される。経済の生命線である石油の輸出制限のほか、主要な外貨収入源になっている北朝鮮産繊維製品の全面禁輸や海外で働く北朝鮮労働者の受け入れの原則禁止に踏み込んだ決議の採択に強く反発するのは必至。11日の外務省声明では決議が採択されれば「最後の手段も辞さない」と強硬姿勢を示しており、日本上空を通過する大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験や追加の核実験など新たな挑発を仕掛ける可能性はある。

 東京商品取引所の金先限は9月4日に4707円と、先限ベースでの年初来高値を更新したが、NY金の下落により12日には4640円まで下落。ただ、円相場が前週末11日の1ドル=107円台前半から週明け11日には109円台半ばまで下落したことに下支えられ、下げ幅は抑えられた。
 北朝鮮が新たな挑発行動に出れば、リスク回避の動きが再び強まり、金相場は年初来高値を更新することが予想される。また目先、挑発行動がなければ買い方の手じまいなどの売りに押される可能性はある。ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)が想定する年内の米利上げに対する懐疑的な見方や米国の政治リスクなどの支援材料も継続しており、下げたところは買い拾われるとみている。

●アナリスト紹介
 第一商品(株)フューチャーズ24、村上 孝一
 現在、フューチャーズ24にて、ファンダメンタルズ分析と市況作成を担当。時事通信社、日本経済新聞社に貴金属・石油市況等のコメントを提供中。

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