村上 孝一/アナリストの目

NY金、12月米利上げ観測が重しだが、リスク要因が支えに:2017/10/13 16:58:45

 ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金相場は6日、中心限月の期近12月限が9月の米雇用統計発表直後に1262.80ドルと、8月8日(1257.10ドル)以来約2カ月ぶりの安値を付けた。ただ、その後は北朝鮮情勢をめぐる地政学的リスクやトランプ米政権の政策運営に対する不透明感を背景としたリスクオフの動きのほか、米連邦準備制度理事会(FRB)が11日に公表した9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が買い材料となり、12日には2週間ぶりの高値となる1299.80ドルに上昇した。

 9月の米雇用統計は、非農業部門就業者数がハリケーンの影響で7年ぶりのマイナスを記録。一方、失業率が2001年2月以来の低水準に改善したほか、物価の先行指標として注目される平均時給伸び率が市場予想を上回ったのを受けて、市場では「米FRBが想定している年内利上げを妨げるような内容ではない」との見方が広がった。しかし、9月の米FOMC議事要旨で、追加利上げのカギとなるインフレ動向について依然として見方が分かれ、米FRBが想定する「年内あと1回」の利上げに強い確信が得られていないことが明らかになった。CMEグループのFEDウオッチによると、市場関係者が織り込む12月の利上げ確率は90%近くに達している。ただ、FOMC議事要旨の結果から、今後発表される米経済統計次第では12月利上げ観測の後退や来年の利上げペースが緩やかになるとの見方が広がる可能性がある。

 北朝鮮は10月10日の朝鮮労働党創建記念日に挑発行動に出なかったが、10月18日の中国共産党大会前後に軍事挑発に出ることが警戒されている。北朝鮮は中国で開催された重要なイベントに合わせて軍事挑発に出ており、今年は5月の「一帯一路」国際会議で弾道ミサイルを発射し、新興5カ国(BRICS)首脳会議が開幕した9月3日に核実験を実施。また、10月16日から26日まで米韓両海軍が合同訓練を実施する予定で、米海軍は原子力空母「ロナルド・レーガン」を朝鮮半島近海に展開することを明らかにしていることから、北朝鮮情勢をめぐる地政学的リスクは金相場を支える材料として継続するだろう。
 また、サンダース米大統領報道官が10日の記者会見で、トランプ大統領が今週中にイランに関する包括戦略を発表すると明らかにした。包括戦略では、イランが2015年に欧米など主要6カ国と結んだ核合意の扱いが焦点になる見通し。複数の米メディアは、トランプ大統領が核合意を認めない姿勢を示すと予想し、イランの精鋭部隊である革命防衛隊を「テロ組織」に指定する可能性も指摘されている。トランプ大統領は13日にも包括戦略を発表する見通しで、米国とイランの対立が深まる結果になるようだと、リスクオフの要因となり、安全資産としての金需要拡大につながる可能性がある。

 米与党・共和党のコーカー上院外交委員長は米紙とのインタビューで、トランプ大統領の他国に対する威圧的態度によって、米国が「第3次世界大戦への道」を歩みかねないと警鐘を鳴らした。トランプ大統領は共和党指導部との間で摩擦を起こしているが、有力議員がここまで明確に批判するのは異例。また、トランプ大統領との関係悪化でティラーソン国務長官が辞任するとの観測が依然として燻るなど、トランプ米政権の政策運営に対する不透明感は根強い。

 NY金は、日本時間の10月13日夜に発表される9月の米消費者物価指数と米小売売上高が堅調な内容になるようだと、買い方の手じまいなどの売りに押される可能性がある。ただ、前述の北朝鮮情勢をめぐる地政学的リスクやトランプ米政権の政策運営に対する不透明感が支援材料となり、安値は買い拾われることが予想されるため、6日に付けた安値1262.80ドルを試すまでには至たらないだろう。
 一方、13日に発表される米経済統計が市場予想を下回り、地政学的リスクを高める材料が出れば、9月8日に付けた今年最高値1362.40ドルから10月6日の安値1262.80ドルの半値戻しの水準である1312.60ドル付近を試す展開になることが予想され、同水準を突破すれば1350ドルの節目が上値目標になるだろう。

 (注)上記の展望は10月13日夕方時点に作成されたものです。
●アナリスト紹介 第一商品(株)フューチャーズ24、村上 孝一
 現在、フューチャーズ24にて、ファンダメンタルズ分析と市況作成を担当。時事通信社、日本経済新聞社に貴金属・石油市況等のコメントを提供中。

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