村上 孝一/アナリストの目

NY金、取引レンジを上抜けるか:2017/11/24 16:47:00

 ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金相場は、中心限月の期近12月限が終値で17日に前日比18.30ドル高、20日に同21.20ドル安、22日に同10.50ドル高と1日の変動幅が大きくなっている。ただ、取引レンジは上値が1300ドル、下値がテクニカル上の長期的な強弱の節目となる200日移動平均線(11月22日現在:1266ドル付近)の範囲内にとどまっている。

 米連邦準備制度理事会(FRB)は11月22日、10月31日〜11月1日開催された連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を公表。多くの参加者は中期的な経済見通しが変わらなければ、「近いうちの利上げは正当化される公算が大きい」と指摘し、12月12日〜13日に開かれる次回政策会合での利上げが視野に入っていることが明らかとなった。
 また、議事要旨ではFRBの目標2%を下回っている物価動向について、引き続き多くの時間を割いて討議されたことが示された。多くの参加者は物価低迷が一時的要因にとどまらず、「より長続きする影響をもたらす」との認識を共有。数人の投票メンバーは、利上げを判断する前に、インフレ伸び悩みが一時的かどうかを慎重に見極める考えを表明した。一方で、数人の参加者は「金融引き締めが遅れれば、雇用最大化も目標を大幅に突破し、金融安定化のリスクが増大する」と懸念を示しており、今後の利上げペースを左右するインフレ見通しについては依然として意見の対立が目立った。
 次回12月会合での利上げはほぼ織り込まれていることで、今後の焦点は2018年の利上げペース。市場では今回のFOMC議事要旨を受けて、「引き続き利上げペースは緩やかにとどまる」との観測が広がっている。9月の米FOMC後に公表された参加者の政策金利見通しでは2018年は3回の利上げが想定されている。

 NY金が前述の取引レンジを突破し、レンジを切り上げるには手掛かりとなる買い材料が必要不可欠で、米税制改革法案の行方と米FRB高官の講演などが注目材料。
 来週は米議会での審議が再開され、上院で税制改革法案の審議が予定されている。上院は共和党が過半数をわずかに上回る議席にとどまっており、数人の造反者が出れば否決される状況にあるだけに下院よりもハードルは高い。上院での法案通過に手間取るようだと、年内の税制改革法案成立が困難になるとの見方が一段と強まり、投資家がリスク回避に動けば、安全資産としての金需要が拡大するだろう。また、来週は米FRB高官の講演やイエレン議長の米経済見通しについての議会証言が予定されており、「引き続き利上げペースは緩やかにとどまる」との観測を強める材料が出れば、ドル売り・金買いの動きが活発になることが予想される。NY金はこれらの要因が投資資金を呼び込めば、レンジの上限である1300ドルを上抜き、10月高値1308.40ドルをも突破するとみている。
 一方、上院で法案が可決され、「一歩前進」との見方が広がれば、投資家がリスク選好に動く一方、安全資産としての金は売られる可能性がある。ただ、上院案と下院案では法人税率の引き下げ時期などの根本部分で大きな相違があるため、議会通過に必要な法案一本化の調整は難航が予想されていることから、投資家のリスク選好の動きは限定され、株式買い・金売りの動きも一時的なものにとどまるとみている。
 さらに、トランプ米大統領が20日に北朝鮮を9年ぶりにテロ支援国家として再指定すると発表したことによる北朝鮮をめぐる地政学的リスクが金相場を支える材料になるとみており、米FRB高官の講演などで「利上げペースが速まる」との見方が台頭しない限り、200日移動平均線の水準は維持するだろう。

 (注)上記の展望は11月24日夕方時点に作成されたものです。

●アナリスト紹介 第一商品(株)フューチャーズ24、村上 孝一
 現在、フューチャーズ24にて、ファンダメンタルズ分析と市況作成を担当。時事通信社、日本経済新聞社に貴金属・石油市況等のコメントを提供中。

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