村上 孝一/アナリストの目

NY金はドル安が支えに、上値を伸ばす場面も:2018/01/12 16:49:35

 ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金相場は、昨年12月20日から今年1月5日まで11営業日続伸した後、買われ過ぎ感や、年明け以降も世界的な株高基調が続いているのを受けた利益確定売りに圧迫され反落。ただ、その後は為替のドル安・ユーロ高などで買われ、中心限月の期近2月限が1328.60ドルと、昨年9月15日(1338.20ドル)以来約4カ月ぶりの高値を付けた。

 ユーロは対ドルで1月4日に1ユーロ=1.2088ドルと4カ月ぶりの高値を付けた後、利益確定売りなどで反落。しかし、10日に「中国が米国債の購入縮小や停止を検討している」との一部報道や、3月に総選挙が予定されているイタリアの有力野党から「ユーロ圏離脱」を否定する発言が相次いだ。さらに、欧州中央銀行(ECB)が11日公表した昨年12月14日に開催の定例理事会議事要旨で、2018年の早い時期にもフォワードガイダンス(政策方針)見直しの可能性について言及のあったことが判明したことがユーロ買い・ドル売り材料となり、1.20ドル台で推移している。
 また、11日発表された昨年12月の米卸売物価指数(PPI)が前月比0.1%下落と、市場予想の0.2%上昇を下回り、2016年8月以来1年4カ月ぶりのマイナスとなった。同時に発表されたエネルギーと食品を除いたコア指数も前月比0.1%下落となり、市場予想の0.2%上昇を下回った。市場では「米連邦準備制度理事会(FRB)が年内の利上げに一段と慎重になる可能性がある」との見方が広がり、為替のドル売り材料となったうえ、金利の付かない資産である金にとっても買い材料となった。

 昨年12月の米PPIが1年4カ月ぶりのマイナスとなったことで、市場では日本時間12日午後10時30分に発表される昨年12月の米消費者物価指数(CPI)に注目が集まっている。市場予想は総合とコア指数がともに前月比0.2%上昇。市場では3月20〜21日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げが予想されているが、PPIに続きCPIもマイナスになるようだと、3月利上げ観測が後退することが予想される。
 また、昨年12月22日に成立した2018会計年度(17年10月〜18年9月)のつなぎ予算が1月19日に期限を迎える。野党民主党は予算を認める代わりに、3月に期限切れを迎える子供の頃に親に連れられて米国に不法入国した若者を強制退去の対象としない措置「DACA(ダカ)」の延長や恒久化を要求。一方、トランプ大統領は民主党が求めるダカの延長と引き換えに、目玉公約である対メキシコ国境の「壁」建設への予算措置を要求しており、与野党の駆け引きは混とんとしている。

 NY金は世界的な株高や米長期金利上昇と売り材料があるにもかかわらず、為替のユーロ高・ドル安や地政学的リスクによる買いに支えられ、昨年末からの上昇基調を継続している。
 12日発表の米CPIが市場予想を下回りマイナスとなれば、為替のユーロ高・ドル安が進行し、ドル建てで取引される金は割安感から買われるうえ、3月米FOMCでの利上げ観測が後退すれば、金利の付かない資産である金にとっても買い材料であり、NY金は上値を伸ばすだろう。さらに、米与野党の予算協議が難航し政府機関閉鎖の懸念が強まる状況となれば、投資家のリスク姿勢が強まる一方、安全資産として金が買われ、2017年9月8日に付けた同年の最高値1362.40ドルを試す動きになることが予想される。

 (注)上記の展望は1月12日夕方時点に作成されたものです。

●アナリスト紹介 第一商品(株)フューチャーズ24、村上 孝一
 現在、フューチャーズ24にて、ファンダメンタルズ分析と市況作成を担当。時事通信社、日本経済新聞社に貴金属・石油市況等のコメントを提供中。

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