長田 泰/アナリストの目

シカゴトウモロコシ、イベント通過後は春高相場へスタート
2018/01/12 21:00:27

 来週のシカゴトウモロコシ相場は底固く推移するだろう。12日の需給報告をはじめとした農務省報告が多く予定されており、穀物相場全体の道標として関心を集めている。ただ、トウモロコシに関しては極端な弱気な反応にはならず、想定されている範囲内の数字であれば事前予想よりも弱気な数字であったとしても、底割れはせずむしろ堅調な値動きをするだろう。3月限の予想レンジは農務省報告が市場の事前予想通りなら345〜355セントのこれまでのレンジ相場。強気材料と判断されれば358〜360セントの抵抗線を試すのもそう遠いことではないだろう。

 12日発表の米需給報告は、トウモロコシに関しては生産高が上方修正されるという見方がある一方で、期末在庫は小幅下方修正されるというややまちまちな見方となりトウモロコシ独自のサプライズは期待できないとの見方がされている。需給報告以上に注目されているのは米四半期在庫報告で、トウモロコシは前年同期の12,386百万ブッシェルを上回る12,431百万ブッシェルが市場の事前予想平均であるが、四半期在庫は農務省報告の中でも市場予想とギャップが起きやすい数字であり、事前予想では読みにくい飼料需要と好調なエタノール需要を合わせて、輸出需要の低調分をカバーできればの昨年同期の在庫水準を下回ることは十分考えられる。ちなみに筆者は昨年を下回る12,356百万ブッシェルを予想している。

 また、筆者が注目しているのは冬小麦の作付面積。先週の当欄で長期展望では今年の全小麦の作付面積が100万エーカー下方修正されると予想されていると指摘したが、今回の冬小麦の作付面積の事前予想は昨年から140万エーカー近くも減少していると予想されるとしており、農務省報告が事前予想以上の減少幅だった場合はもとより、事前予想通りであっても、小麦相場にとっては強い買い材料になるのではないか。また、冬小麦が作付け減になった分の畑にこの春に何を植えるかという議論がすぐに始まるであろうが、これについてはマイロがもっとも有力であろう。
 マイロは飼料穀物として、またエタノール向け穀物としてトウモロコシと競合関係にあるが、生育のための水分必要量がトウモロコシの約半分と干ばつに強い。また中国向け輸出が好調で昨年3月からメキシコ湾の輸出港の現物価格はマイロがトウモロコシを上回ることが常態化しており、足もとでは1トン当たり35ドル以上もマイロがトウモロコシよりも高い。単収はトウモロコシの半分程度であるが、小麦の単収の1.5倍程度は獲れるため採算は小麦よりよい。実際今年のマイロの種子販売ペースは予想以上に強いという。冬小麦の作付面積減が、大豆、トウモロコに振り向けられず、主要三品の作付面積合計が減少する可能性が浮上すれば全体の相場の支えとなろう。

 今回の報告後の反応としては弱気に振れるとすれば大豆が最もその可能性が高いかもしれない。ひとつは需給報告で生産高、期末在庫とも上方修正が見込まれていること、ブラジルの生産好調が注目されていること、中国が依然米国産の買い付けペースを上げてこないこと、ファンドが売り越し状態ながら、トウモロコシや小麦に比べ売り越しに転じてから日柄が浅いことなどが挙げられる。

 特に中国の動向については不透明な部分が多いが、昨年末に発表された中国の米国産大豆の輸入条件強化の動き(異物混入を2%以下から1%以下にする)が、年を明けてから実行に移され、実際にかなり米国産大豆の輸出に制限がかかりそうだとの感触の声が聞かれている。ただ、中国の大豆輸入量自体は拡大傾向と見られるだけに米国産の輸入減をカバーするため、結果として例年よりブラジル産大豆の輸出期間が長くなるのではと見られる。
 これにより米国産大豆の輸出需要が一段と下方修正される可能性が浮上してくるが、逆にブラジルが大豆輸出期間を延ばすことで日本を含め同国からトウモロコシを買い付けようとする需要は米国産に回帰する⇒米国産トウモロコシ輸出需要回復というシナリオが描けるのではないか。目先大豆売りトウモロコシ買い、大豆売り小麦買いの動きが出る可能性が考えられるが、大豆の下げが改めてトウモロコシ、小麦の水準を切り下げるとは考えにくい。

 そのほかに輸出も含めた米国産エタノール需要の堅調、窒素肥料価格の上昇の可能性、アルゼンチンの干ばつ懸念、米国産地の土壌水分不足懸念など、まだ本格的な材料とはなっていないものが案外多くあるのが今のトウモロコシ相場の状況だ。

(注)上記の展望は1月12日の夕方時点に作成されたものです。

●アナリスト紹介
 第一商品(株)法人部、長田 泰
 現在、法人部にて国際穀物を中心に商社顧客の取引を担当。2017年TOCOM農産物アナリスト育成セミナー修了者。時事通信、日本経済新聞の国際穀物市況等にコメントを提供中。ソイオイル・マイスター。

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