村上 孝一/アナリストの目

東京金、一時は約2カ月ぶりの安値
2018/02/13 15:41:03

 東京商品取引所の金相場は、世界の金融市場が不安定な動きとなる中、NY金相場が下落し為替が円高・ドル安に振れたことで売られ下落。先限は終値で7日に100日移動平均線が通る4650円を割り込んだ後、13日の夜間取引では一時4561円と、テクニカル上の長期的な強弱の節目となる200日移動平均線が通る4578円付近を割り込み、2017年12月19日(4540円)以来約2カ月ぶりの安値を付けた。

 NY金は世界的な株安となったにもかかわらず、米景気過熱リスクやインフレ懸念を背景とした米長期金利の上昇や、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げペースを加速するとの観測が圧迫材料となった。また、市場からは「株価の下落によって一部の投資家が資金を増やすために換金売りを出している公算が大きい」との指摘が聞かれる。米商品先物取引委員会(CFTC)が発表したNY金の建玉報告によると、ファンド筋の買い越しポジションは、2月6日現在で前週比1万6385枚(51トン)減少の19万0877枚(594トン)。ニューヨーク証券取引所に上場されている世界最大規模の金ETF「SPDRゴールド・シェア」現物保有量は、NYダウ平均が過去最大の下げ幅を記録した5日以降、20.64トン減少し、12日現在で820.71トンと2017年8月末以来の低水準を記録。
 ただ、NY金は前述の要因で下落したが、1300ドルの節目を維持している。世界の株式市場の不安定化により、安全な資金の逃避先として金の需要が底堅い。また、ドルが米長期金利の上昇や米利上げペースの加速見通しなどの買い材料があるにもかかわらず、対ユーロでの上昇力が鈍いことも支援材料となっている。

 円相場は9日に一時、1ドル=108円04銭と、2017年9月8日(107円32銭)以来5カ月ぶりの円高・ドル安水準を付けた。世界的な株安を受けて、投資家のリスク回避の動きが広がる中、安全資産とされる円が買われている。目先、世界的な株安を招く引き金となった米株式相場を眺めながらの展開となり、円の上値目標とみられている108円を突破するようだと、円高・ドル安が加速することが懸念される。

 目先の注目材料は2月14日発表される1月の米消費者物価指数(CPI)。市場では「米株価急落のきっかけが金利上昇とインフレ懸念だったため、インフレ指標の動向がカギになる」との声が聞かれる。前月は変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数が前月比0.3%上昇と11カ月ぶりの大幅な伸び率となり、「米FRBによる利上げペースが加速するのではないか」との見方が浮上した。
 1月の米雇用統計で物価上昇の先行指標として注目される平均時給が前年同月比2.9%増と2009年6月以来の大幅な伸び率を記録したこともあり、1月の米CPIが市場予想を上回る伸び率となれば、米長期金利上昇や株安に拍車が掛かる可能性がある。前週のように再び世界的な株安となった場合、投資家がリスク回避に動く一方、安全な資金の逃避先として金や円が買われることが予想される。ただ、前週のように金利の付かない資産である金にとっては金利上昇や利上げ観測が売り材料になることが懸念される。
 一方、1月の米CPIが市場予想を下回る伸び率となった場合は、米利上げ観測やインフレ懸念が和らぐことが予想され、米長期金利下落と米株高になる一方、金相場にとっては買い材料になる可能性がある。ただ、市場予想を大幅に下回らなければ、金利下落と株高は一時的な動きにとどまることが予想される。

 東京金は13日の日中取引で、東京市場が休場となった12日のNY金が上昇したことで買われ、先限は4600円の節目を回復した。目先、終値で200日移動平均線を維持できるかがポイントで、NY金が1300ドルの節目を維持する動きとなれば、為替の円高・ドル安が加速する状況にでもならない限り、同水準では買い拾われるとみている。

●アナリスト紹介
 第一商品(株)フューチャーズ24、村上 孝一
 現在、フューチャーズ24にて、ファンダメンタルズ分析と市況作成を担当。時事通信社、日本経済新聞社に貴金属・石油市況等のコメントを提供中。

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