上野 隆/アナリストの目

NY原油、中東情勢を意識しつつも上値は重い
2018/05/16 15:40:25

 ニューヨーク原油(WTI)相場は、中東情勢の緊迫化を背景に買い進まれ、15日に1バレル=71.92ドルまで上昇。2014年11月以来の高値圏に浮上した。

 前週、米政権がイラン核合意離脱を決定。対イランの経済制裁を再開する方針を明らかにしたことで、イラン産原油の供給不透明感が浮上。また、イスラエルが領有権を主張し実効支配しているゴラン高原に対して、イランがシリア国内から攻撃を実施。これに対しイスラエルが報復したことで、同地域の地政学的リスクが高まったことも相場を支援した。
 米政権は、イスラエル建国70周年にあたる14日、米国大使館の商都テルアビブからエルサレムへの移転を実施した。米領事施設を改築した暫定的な移転となるが、パレスチナ自治区ガザでは数万人規模のデモが行われ、イスラエル軍の発砲により多数の死傷者がでるなど、緊迫の度合いを強めている。アラブ連盟は16日に緊急会合で対応を協議するとしている。
 イラン核合意については、イランのロウハニ大統領が「(米国を除く)5カ国と協議して核合意の目的が達成されるなら、イランはとどまる」と表明したものの、一方で「必要ならば無制限にウラン濃縮活動を再開できるよう原子力庁に指示した」とも述べており、核開発再開となれば米国との対立激化は避けられず、中東情勢の不透明感が引き続き原油相場を支援するとみている。
 また、北朝鮮が16日、米韓空軍による合同訓練実施に反発し、韓国との閣僚級会合の中止を発表。6月12日に予定されている米朝首脳会談についても取り止めの可能性を示唆しており、朝鮮半島非核化の先行きに不透明感が浮上したことも強材料視される可能性がある。

 ただ、米石油サービス会社ベーカー・ヒューズが前週末に公表した石油リグ(掘削装置)稼働数が6週連続で増加し、2015年3月以来の高水準を記録したほか、米エネルギー情報局(EIA)は14日付の掘削生産性リポートで、6月の国内シェールオイル生産が日量約14万5000バレル増の718万バレルと、過去最高水準に達するとの見通しを示すなど、価格上昇に伴う米シェールオイル増産意欲の高まりが上値抑制要因となる。
 このため、ニューヨーク原油(WTI)相場は、1バレル=70ドル台を維持しつつも、上値追いの動きは期待できないとみている。当面は70〜72ドル台を中心としたレンジ取引が続きそうだ。

●アナリスト紹介
 第一商品(株)フューチャーズ24、上野 隆
 現在、フューチャーズ24にて、FAX・メール情報に掲載する市況作成等を担当。広範な知識に基づいた情報分析や、テクニカルを駆使した商品分析を得意とする。2016年TOCOM石油アナリスト育成セミナー修了者。

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