最新コメント一覧
- 白金は堅調、供給懸念が支援材料に1月22日 15時30分今週の白金標準は、高値圏でもち合う動き。世界最大の白金生産国である南アフリカ共和国からの供給懸念が支援材料。新型コロナウイルスの変異種の感染が拡大し、南アからの航空便が停止されると、同国からの貴金属の空輸が滞り、物流に大きな制限を受けるとの懸念が台頭している。また、欧州連合(EU)は21日、新型コロナウイルスへの対応を協議し、感染拡大が収束せず変異種への懸念も広がる中、EU域内における旅行などの不要不急の渡航を制限することが必要だとの認識で一致。物流や必要不可欠な渡航は引き続き認める方針を示しているため相場への影響は限られるが、新型コロナの感染が今後も欧州で拡大するならば、白金の流通網が制限され、供給不足への投資家の思惑を強める材料になる。
一方、需要面では、バイデン米政権は20日、トランプ前政権が離脱した地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」への復帰を国連に申請。正式な復帰は30日後の2月19日となるが、世界一の経済大国で、中国に次ぐ2位の温室効果ガス排出大国でもある米国が国際協調路線に回帰すれば、脱炭素社会に向けた世界の取り組みに弾みがつくと考えられる。この流れの中、白金は主にディーゼル車の排ガス除去装置の触媒に用いられるが、再生可能エネルギー由来の電力を利用し、水を電気分解して水素を生成するための電解装置でイリジウムと共に電極触媒としても使用される。また、ハイブリッド(HV)車などでは、1台当たりに必要な排ガス触媒は増加する。また、18日に発表された中国経済主要統計が同国の景気が底堅いことを示した他、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁が欧州の景気下振れリスクが以前よりも後退したとの見方を示しており、中・長期的な需要の堅調見通しが支援材料となり、目先は堅調推移が見込まれる。 - 金はもち合い、目先は底固い展開に1月22日 15時30分今週の金標準は上伸。イエレン前連邦準備制度理事会(FRB)議長は19日、歴史的な低金利の状況下で大型財政政策の実施が「最も賢明」と発言。また、バイデン氏は20日に大統領に就任し、新型コロナウイルスのワクチン普及への支援や1人当たり最大1400ドルの現金給付などを盛り込んだ1兆9000億ドル規模の追加経済対策案への期待感や、財政支出の拡大による将来のインフレへのヘッジとしての買いが金相場を支えている。
欧州中央銀行(ECB)は21日、定例理事会を開き、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて導入した大規模な金融緩和策の維持を決定。ラガルド総裁は記者会見で、多くのユーロ圏諸国で導入された長期的な感染封じ込め措置が「経済活動を混乱させている」と懸念。その上で、「コロナ流行下で良好な資金調達環境を維持するため、十分な金融刺激策がなおも不可欠だ」と強調した。米長期金利の上昇は、金利を生まない資産である金にとっては圧迫材料だが、世界各国で金融緩和策が継続されているため、金の見通しは強い。1月26、27日両日開催予定の米連邦公開市場委員会(FOMC)では政策金利の据え置きが予想されていることで、積極的に買う動きには乏しいたが、目先は底固い値動きが見込まれる。 - 白金は上下動、PGMの供給不足懸念が支援材料に1月15日 17時0分今週の白金は上下動。週明け12日に金相場の急落につれ安したが、売り一巡後は南アフリカ共和国からの供給不安などを手掛かりとした買い戻しが入り、値を戻す展開となった。南アで新型コロナウイルスの変異種が確認され、同国からの渡航制限措置が実施されることで、同国からのロジスティクス(モノを作って売るまでの流れと管理)が中断する可能性があるとの見方が強まった。
南アからの供給減少懸念については、世界第1位の白金生産会社のシバンエ・スティルウォーターはこれを否定。同社によると、南アでは都市封鎖(ロックダウン)などの新型コロナ対策が実施されても、鉱山は郊外にあるため、鉱山内での感染者は増えているものの、操業は既に例年並みに回復。輸送用のコンテナなども通常通りに運行しているとしている。しかし、一方で同社は白金族金属(PGM)の需要は既に世界的な感染流行(パンデミック)前のレベルに回復しているため、今後、世界経済が回復するにつれ、白金価格が急騰する可能性があると指摘。また、PGMで自動車の排ガス触媒に使うロジウムは1トロイオンス=2万ドルを超え過去最高値を更新し、今後も供給不足が予想されることも、心理的な支援材料。パラジウムやロジウムと比べて出遅れ感のある白金へは買いが入りやすく、当面は堅調推移が見込まれる。 - 金は下落、米長期金利の上昇を背景に1月15日 16時57分今週の金は下落。米長期金利の上昇傾向が継続する中、金利を生まない資産である金への売り圧力が強まり、先週の7日先限高値6488円から連休明け12日安値6134円まで、350円超の大幅下落となった。米国では、民主党が米上院の主導権を握ったことで、民主党のバイデン政権下の景気刺激策に期待感が広がる一方、財政赤字が拡大するとの懸念もあり、米株高が進行する中で、米長期金利が上昇した。売り一巡後は、調整の買いなどが入り安値では買い拾われたものの、概ね軟調に推移している。
金は一般的に金融緩和などの景気刺激策によってもたらされるインフレに対するヘッジ資産とされるが、米国債の利回り上昇や米株高を眺め、金利の付かない金を保持することの機会費用が増大したことや、新型コロナウイルスのワクチン接種が各国で進むことで、世界経済の正常化への期待感などを背景にヘッジファンドによる産金大手への売りが増加していることなども相場の圧迫材料となった。
また、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は14日、米経済が新型コロナウイルス危機から立ち直るまで時間がかかるため「利上げは当面ない」と明言。金融緩和策の継続を示したことは、金にとっては支援材料。ただ、同時にインフレ率が昨年のコロナ危機直後に落ち込んだ反動で、今後は上昇圧力が強まると予想した。しかし「最大雇用(の状態)へは長い道のりになる」と述べ、景気の本格回復による持続的な物価上昇にはならないとの見通しを示しており、インフレヘッジとしての金需要には足かせとなる内容となった。
バイデン次期米大統領は14日、新型コロナウイルスの感染拡大に対応するため、総額1兆9000億ドル規模の追加経済対策案を発表しており、財政赤字が拡大するとの懸念は支援材料視されるが、20日の大統領就任式を通過するまでは大きな動きにつながらないため市場の様子見姿勢も強く、短期的には現在の値位置でのもち合いが見込まれる。 - 白金は上伸、南アの供給網の懸念などを受け1月8日 16時2分今週の白金は上伸。24日に難航してきた英国と欧州連合(EU)の自由貿易協定(FTA)が妥結。トランプ米大統領は27日、追加の新型コロナウイルス経済対策法案に署名し、総額9000億ドル規模の追加対策が成立し、コロナ禍で打撃を受けた米経済が下支えられるとの期待感から米株式が上伸した流れを受け、工業用需要の比重の高い白金は上伸。また、南アで新型コロナウイルスの変異種が確認され、同国からの渡航制限措置が実施されることで、同国からのロジスティクス(モノを作って売るまでの流れと管理)が中断する可能性があるとの見方が支援材料視された。
ただ、英自動車製造販売者協会(SMMT)が6日発表した英国の2020年の新車登録台数(乗用車)は、前年比29.4%減の163万1064台。新型コロナウイルスの感染拡大による都市封鎖(ロックダウン)で、自動車のショールームが一時閉鎖されるなどしたため、急激な落ち込みを記録している。また、ドイツ連邦自動車局(KBA)は6日、2020年に同国で新車登録された電気自動車(EV)の数は前年比206%増の19万4163台となったが、全体の新車登録台数が新型コロナウイルスの打撃で約2割減少したと発表。新型コロナウイルスの感染拡大が自動車需要回復の足を引っ張っていることが示されており、世界的な景気減速懸念が強まるようだと、目先は上値の重い展開になると考えられる。 - 金は堅調、米国の追加経済対策への期待感などを手掛かりに1月8日 16時2分今週の金は上伸。トランプ米大統領は昨年12月27日、追加の新型コロナウイルス経済対策法案に署名し、総額9000億ドル規模の追加対策が成立。また、1月5日に米南部ジョージア州で行われた米連邦議会上院2議席の決選投票では、民主党が勝利を確実にし、同党が大統領と上下両院を制する見通しとなった。これを受け、今後の追加経済対策として財政出動が増加し、インフレが加速するとの見方から、インフレヘッジとしての需要が強まり、金は上伸した。
米リッチモンド地区連銀のバーキン総裁は7日、ノースカロライナ州のビジネス団体のオンラインイベントで、ジョージア州の2議席を民主党が確保したものの「民主党のリードはこれまでで最も小さい」とし、「このことは、苦境に陥っている人々に対する支援は継続されるが、一段と積極的な法案の可決は難しくなることを示している」と指摘。ワクチン普及で生活の正常化が予想されることを踏まえると、これまでのような政府支出の大幅な増加はないとの見方を示している。ただ、米国でのワクチンの普及は計画に遅れも見られ、経済の正常化への不透明感は依然として強い。
また、月末27日に今年最初の米連邦公開市場委員会(FOMC)を控える中、8日に発表される昨年12月の米雇用統計が注目されている。米雇用統計が弱い内容となった場合は、米連邦準備制度理事会(FRB)が一段の金融緩和姿勢を示す可能性があることも相場の下値を支えると考えられ、当面の金は底固い値動きが見込まれる。 - 白金は堅調、年始の英国のEU離脱が懸念材料に12月25日 15時53分今週の白金は21日の急落後に買い戻され、週末には先限が3400円台を回復。新型コロナの感染再拡大を受け、欧米でクリスマスと年末年始に規制を再強化する動きが進んでいることや、強い感染力を持つ新型コロナウイルスの変異種が英国で確認されたことで、変異種による感染拡大とともに、経済的な打撃にも懸念が強まっていることなどが圧迫材料となっている。
英国のジョンソン首相は19日、感染力が最大で7割高いとみられる変異株の新型コロナウイルスが広がっているとして、首都ロンドンを含むイングランド南東部に事実上のロックダウン(都市封鎖)を再導入することを発表。これを受け、仏政府はイングランド南東部ドーバーとの貨物の往来を一時停止した。その後、英仏両政府が解消に向けて動きだし、英仏海峡の閉鎖で混乱が生じていた物流に関しては、英仏両政府の協議が進展。フランス政府は現地時間23日午前0時(日本時間午前8時)から、ウイルス検査の陰性証明を提示したフランスと他の欧州連合(EU)の居住者に限り、英国からの入国受け入れを決定し、英仏海峡の一時閉鎖による混乱は解消に向かっている。
しかし、英国がEUの関税同盟を離脱する1月1日からはいずれにしろ双方の渡航が一時的に制限される見通しで、年明けには再度、混乱が発生すると見られている。また、英国とEUは24日、自由貿易協定(FTA)締結交渉で合意したが、EU欧州委員会の関係者は同日、EU金融市場へのアクセス許可を巡ってはまだ結論が出せないとの認識を示している。EUは、英EU離脱の「移行期間」終了の1月1日以降、EUが金融規制が同水準だと認める「同等性評価」を適用された場合のみ、英国のEU市場へのアクセスを認める方針を示している。イングランド銀行(英中央銀行)は、これ以上のアクセスが許可されなければ、市場に混乱が起きるかもしれないと指摘しており、英国を巡りもう一波乱が起こるかもしれない点には注意が必要になる。 - 金は上下動、年末は米追加経済対策の動向に注意12月25日 15時51分今週の金標準は週明け21日に急伸し、一時先限が1ヶ月ぶりの高値となる6350円をつけたが、その後は急反落。米与野党が9000億ドルの経済対策で合意に達したとの報を受けて一時上伸したが、その後は感染率の高いコロナ変異種がポンドやユーロを押し下げ、ドル指数が数年ぶり低水準から1週間超ぶりの高水準に跳ね上がったため、ドル建てNY金が急落した流れに圧迫された。ただ、感染力の強い新型コロナウイルスの変異種が英国など欧州で広がったことを受けて安全資産として金塊を買う動きもあり、相場の下値は限定的だった。
強い感染力を持つ新型コロナウイルスの変異種が英国で確認されたことで、変異種による感染拡大とともに、経済的な打撃にも懸念が強まっている。ワクチンの効果に対しての懸念は、更なる変異を起こさない限りはワクチンは有効との見方が大勢のため、現在は沈静化している。しかし、新型コロナの感染再拡大を受け、欧州でクリスマスと年末年始に規制を再強化する動きが進んでいるため、変異種による感染拡大とともに、経済的な打撃にも懸念が強まっている。このため、ユーロ高ドル安の流れが一服し、ドル建てNY金はドル高を背景とした割高感からの売り圧力にさらされている。
米国では各地で新型コロナウイルス感染者数がこれまでで最多を記録しており、議会では期限となる18日までの追加経済対策合意への圧力が強まった。しかし、トランプ米大統領が米議会を通過した追加経済対策関連法案への署名拒否をちらつかせるなど不安材料も残る。28日までに2021年度予算案と一体化している追加経済対策法案が成立しない場合、政府機関が一部閉鎖される可能性も指摘されている。そのため、年末年始の金価格は短期的には上値が重いものの、欧州での新型コロナウイルスの再拡大や米国の追加経済対策法案の行方を睨みながら上下動。米追加経済対策法案が成立しない場合は、安全資産としての需要が高まり、再度1トロイオンス=2000ドル台の回復を試すと考えられ、その場合は国内市場も100日移動平均線(25日時点6439円)を視野に上値を試す展開が予想される。 - 白金は堅調、世界経済の正常化への期待感が支援材料に12月18日 15時49分今週の白金標準は堅調。16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で量的緩和政策が継続されたことや、米国の追加経済対策が成立するとの期待感、欧州連合(EU)と英国の通商交渉に対する楽観的な見方などを背景に、ユーロ買いドル売りが進行。ドル建てNY白金は割高感からの買いが入り上伸。英国や米国で新型コロナウイルスのワクチン接種が開始され、世界経済の正常化への期待感が高まったことも、工業用需要の割合の高い白金にとっては支援材料となった。
フォンデアライエン欧州委員長は17日、ジョンソン英首相と電話会談し、難航している自由貿易協定(FTA)締結交渉を巡って協議した。会談後の声明では、漁業権に対しての違いを埋めることが難しいとの認識を示したが、その上で18日も協議を続ける意思を示している。
また、バイデン次期大統領が気候変動や環境保護への取り組みを重視する姿勢を示していることや、各国で「低炭素」技術や水素エネルギーの推進を表明される中、燃料電池などに使用される白金の需要が高まるとの見方や、価格が高騰しているパラジウムから白金への代替技術が進展していることなども中・長期的に相場を支える。また、世界最大の自動車市場をもつ中国の11月の経済指標が堅調となり、景気回復力の強さを裏付けされたことも強材料視され、目先は堅調推移が見込まれる。 - 金は上伸、米国の新型コロナ対策の進行状況を眺めた動きに12月18日 15時44分今週の金標準は上伸。16日に公開された米連邦公開市場委員会(FOMC)では事実上のゼロ金利を据え置き、量的緩和政策を維持する方針が改めて示された。また、米連邦準備制度理事会(FRB)は量的緩和(QE)について、結果ベースの定性的フォワード・ガイダンスを発表。「雇用最大化と物価安定の目標に向け著しく前進する」まで、国債と不動産ローン担保証券(MBS)を少なくとも計月1200億ドル購入するとしたことで、市場の緩和期待が継続。
パウエル米FRB議長は記者会見で、コロナ再拡大に強い懸念を示した上で、ワクチンの普及に「大きな試練と不確実性がある」と指摘。これまで「今後数カ月間」としていた量的緩和について、より長く続ける方針を明確に示したことで、投資家は景気が悪化すれば、追加緩和が実施される可能性があるとの思惑を強めた。また、米国で新型コロナウイルス感染が再拡大していることや、対主要国通貨でのドル安が進行したことなどから、ドル建てNY金は上伸し、一時1トロイオンス=1900ドル台を回復した。
ただ、米国では新型コロナウイルスワクチンの接種が始まり、週内には米食品医薬品局(FDA)が国内二つ目となる米モデルナ製ワクチンの緊急使用許可を承認するとみられ、安全資産としての金需要が後退すれば、金は下落する一方、米国の新型コロナウイルス感染拡大を受けた追加経済対策を巡る協議が進展すれば、米長期金利の低下を受けてドルが対主要国通貨で下落し、ドル建てNY金は上伸する可能性がある。 - 白金は上伸、底固い動きに12月11日 15時51分今週の白金標準は、7日に高値3584円をつけた後は値位置を維持できずに反落したが下げ渋り、高値圏でもち合う展開。各国で新型コロナウイルスのワクチン接種が始まる中、経済の正常化への期待感が工業用需要を刺激した。また、欧州連合(EU)は10日、ブリュッセルで開いた首脳会議で、新型コロナウイルス禍から欧州経済を再建する7500億ユーロの対策を承認。欧州中央銀行(ECB)も同日の定例理事会で、追加の金融緩和を決定し、新型コロナウイルス対策で導入した資産購入策の規模を5000億ユーロ増額し、1兆8500億ユーロとした。2021年6月までとしていた実施期間も22年3月まで延長。欧州経済回復への期待感が相場を支えている。
ジョンソン英首相は10日、難航している欧州連合(EU)との自由貿易協定(FTA)交渉がまとまらず、協定の年末発効という目標を達成できない「可能性は高い」と述べた。交渉が失敗に終われば、英EU間の物流などが年明け以降に混乱する事態が予想されるため、ジョンソン氏は閣議で準備を指示した。また、アングロ・アメリカン・プラチナム(アンプラッツ)は7日、今年2月に発生した爆発事故後に停止していた精錬プロセスAユニットの再建を完了し、操業を開始。年内にはフル稼働に達すると見込まれている。当初は2021年第2四半期まで掛かるとされた工事が、半年近く前倒しされたことで、需給ひっ迫見通しが後退したことも、上値を抑えており、短期的には下落する可能性がある。
ただ、中国の市場調査機関大手・北京安泰科情報開発によると、燃料電池自動車開発や、パラジウムを白金に置き換える研究が進んでおり、今後数年間で大規模に代替がすすめば、白金需要の増加につながるとの見通しが示されている。短期的には下落する場面があっても中長期的には上昇基調を継続し、年末に向けては押し目買い有利の展開になると考える。 - 金は上下動、米FOMCが焦点に12月11日 15時49分今週の金標準は上下動。チャート上では期先10月限が9日高値6280円をつけ、11月9日から30日までの下落に対する半値戻しを達成したが、その後は値位置を維持できずに下落。各国での新型コロナウイルスのワクチン接種の開始され、経済の正常化への期待感が高まる一方、安全資産としての金需要が後退した。
ただ、米労働省が10日発表した5日までの1週間の新規失業保険申請(季節調整済み)は、前週比13万7000件増の85万3000件と2週間ぶりに悪化に転じた。市場予想(72万5000件)を大幅に上回り、9月半ば以来約2カ月半ぶりの高水準。新型コロナウイルス感染再拡大による雇用悪化を浮き彫りにした。パウエル米FRB議長は1日の新型コロナウイルス対策に関する上院銀行委員会の公聴会での証言で、約1000万人が失業状態にあるとし、「まだこの先の道のりは長い」と指摘。労働市場へ議会や他の政府機関の支援が必要になる可能性を示唆している。
このため、12月15日、16日に予定される米連邦公開市場委員会(FOMC)で、追加の経済対策が実施されるかが注目される。また、17日、18日開催の日銀金融政策決定会合を巡り、一部報道では、2021年3月末までの時限措置である新型コロナウイルス感染症に対応した企業の資金繰り支援策の期限延長を検討する見通しとされている。既に10日に開催された欧州中央銀行(ECB)定例理事会では、追加金融緩和が決定。新型コロナウイルス対策で導入した資産購入策の規模を5000億ユーロ増額し、1兆8500億ユーロとした。2021年6月までとしていた実施期間も22年3月まで延長されており、世界的な金融緩和姿勢の継続が金相場を支えると考えられ、来週は目先の下落場面では買い戻される押し目買いの展開が見込まれる。 - 白金は上伸、投資需要が値を支える12月4日 17時11分今週の白金は上伸。対主要国通貨でのドル安を受け、ドル建てNY白金が上伸したことに加え、新型コロナウイルスのワクチン開発の進展を背景とした景気回復への楽観的な見方や、中国の自動車販売台数回復への期待感などが支援材料視された。NY白金は12月1日に指標1月限が約4か月ぶりに1トロイオンス=1000ドル台を回復している。
世界的な環境規制の強化の流れが加速する中、自動車業界が将来的にガソリン車の生産販売を中止し、電気自動車(EV)を普及させる方針が示されている。このため、製鉄過程で二酸化炭素(CO2)排出量を削減するために使用する水素燃料や、クリーンビークル(CO2などの排出がゼロまたは低い自動車)のエネルギー源となる電池の生産が増加することになる。白金は、水素エネルギーの製造や燃料電池車に用いられるため、将来の需要増を見込んだ投資も増加している。
欧州連合(EU)欧州委員会のシェフチョビッチ副委員長は11月24日、EUが今後EV用電池の生産を増やし、2025年までに域内を走るEVの電池を輸入に頼らずに調達できるようになるとの見通しを示した。また、日本でも、政府が国内の新車販売に関し、2030年代半ば以降はガソリンだけで走行する車以外の「電動車」とする目標を設定する方向で調整に入っている。また、環境を重視するバイデン政権が、太陽電池や水素燃料など再生可能エネルギーの利用を促せば、白金の需要拡大につながる可能性もあると考えらている。 - 金は上伸、押し目買い優勢の地合いに12月4日 17時10分今週の金標準は上伸。11月30日には新型コロナウイルスのワクチン開発の楽観的な見方や月末要因などを手掛かりとした売りに押され、先限2021年10月限が安値5900円をつけた。しかし、売り一巡後は値を切り返し、週末にかけて上伸した。
欧州中央銀行(ECB)のレーン専務理事は11月27日、「インフレ率の低下をさらに長期間容認すれば消費や投資に悪影響を及ぼし、期待インフレ率の低下も定着させることになる」と懸念を表明。10日に控えたECB定例理事会で、追加緩和が打たれる公算は大きいと考えられている。また、米連邦準備制度理事会(FRB)は11月30日、新型コロナウイルス感染拡大に伴う金融市場の混乱を受けて導入した緊急資金供給策について、コマーシャルペーパー(CP)市場などの円滑化を目的とした4制度を90日間延長し、2021年3月末まで維持すると発表。インフレ懸念や各国中央銀行による金融緩和政策の継続見通しが強まったことなども、金にとっては支援材料となった。
また、パウエル米FRB長官は1日に議会上院で新型コロナウイルス危機対応について証言し、感染再拡大に懸念を示した上で「景気回復は長い道のりだ」と指摘。米FRBが15日、16日両日開催予定の米連邦公開市場委員会(FOMC)で長期国債の買い入れを増やすかどうかは不明だが、何らかの措置が実施される可能性があるとの期待感も相場を支えており、目先は押し目買い優勢の地合いが見込まれている。 - 白金は上伸、景気回復への期待感を背景に11月27日 15時33分今週の白金標準は上伸。新型コロナウイルス感染症のワクチン開発による将来的な景気回復への期待感や、世界的な環境規制強化の流れが強まる中、自動車触媒需要の回復見通しを背景とした買いに支えられ、堅調に推移した。
白金業界団体ワールド・プラチナム・インベストメント・カウンシル(WPIC)が18日に発表した白金需給見通しによると、20年の需給バランスは37.39トンの供給不足の予想。中国の宝飾需要の増加や欧州での自動車触媒需要の回復が見込まれる他、中国の一部の都市および省が小型車に排出ガス基準「国6」を早期適用し、重量車の「国6」遵守を厳格化しており、排出ガス規制の厳格化に対応するため自動車触媒の白金使用量を増やすと考えられていることも、白金の支援材料となっており、目先は堅調推移が見込まれる。 - 金は下落、投資家のリスク選好姿勢の高まりを背景に11月27日 15時32分今週の金標準は大幅下落。新型コロナウイルスのワクチンの実用化が実現すれば経済が正常化するとの期待感や、バイデン次期米大統領への政権移行作業が認められ政治的な不透明感が薄れたことなどを背景に、投資家のリスク選好姿勢が高まり、安全資産とされる金が売られる一方、世界的に株価が上伸。米国では24日、優良株で構成するダウ工業株30種平均が初めて3万ドルの大台に乗せた。
新型コロナウイルス感染症のワクチン開発による将来的な景気回復への期待感から、新型コロナ収束の恩恵が大きい金融やエネルギー、航空、レジャー株などへと投資家の資金が流入していることも、金相場が下落した要因。ただ、米国では、新型コロナの感染が再び急拡大し、経済活動を再規制する動きも広がっている。また、日本でも新型コロナウイルスの国内の重症者数が26日に過去最多を更新。ワクチン開発を背景とした経済への楽観姿勢は時期尚早との見方も根強い。
米連邦準備制度理事会(FRB)は25日、11月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を公表した。その中で、米FOMC参加者は、資産購入プログラムが経済に緩和効果をもたらしたとの見解で一致。経済の回復が予想より速く、速やかな国債購入の修正は必要ないが、「新型コロナウイルス感染再拡大が景気回復の下振れリスク」と指摘。景気を下支えする量的緩和策に関し、「比較的近く指針を強化する」可能性を議論しており、新指針を12月15日、16日の日程で開催される次回の政策会合で決める可能性もある。米国の追加経済対策は来年まで合意が得られないとの見方も台頭する中で、米FRBへの追加金融緩和圧力も高まっており、次回の米FOMCで量的緩和策が示されるようだと、金利を生まない資産である金にとっては支援材料となり、反発する可能性が高い。
このため、短期的には投資家のリスク選好姿勢を背景とした売り圧力にさらされ、ドル建てNY金は一時1800ドルを割り込む水準で推移すると考えられるが、売り一巡後は米FOMCを睨みながら安値拾いの買いに支えられる底固い値動きになると予想する。 - 金は軟調、新型コロナを巡る思惑から11月20日 16時4分今週の金標準は下落。バイオ医薬品のモデルナは16日、開発中の新型コロナウイルスのワクチンに関する臨床試験(治験)で、94.5%の有効性がみられたと発表した。米製薬大手ファイザーも今月、独ビオンテックと共同開発しているコロナワクチンに高い有効性が確認されたと公表。新型コロナウイルスのワクチンの実用化が実現すれば経済が正常化するとの期待が高まったことから、安全資産とされる金へ売りが入り、国内金は約4カ月ぶりの安値圏に値を沈めた。
しかし、米ジョンズ・ホプキンス大によれば、新型コロナによる米国の死者が18日、25万人を突破。米国は感染者数、死者数ともに世界最多で感染が再拡大し、米国のロックダウン(都市封鎖)が広がりをみせている。欧州でも新型コロナウイルス感染症が拡大し、フランスでは新型コロナ感染者が200万人を突破。英国と欧州連合(EU)の通商交渉が、EU側の交渉担当者1人が新型コロナウイルス感染症の検査で陽性となったことで一時中断されるなど、政治へと直接的な影響を及ぼしている。世界経済の先行き不透明感の強さから、安全資産とされる金の下値は限られる。
また、米民主党のシューマー上院院内総務が追加経済対策法案の協議再開をめぐり、共和党のマコネル上院院内総務が同意。欧州連合(EU)首脳は19日、1兆8000億ユーロ規模の2021〜27年予算と新型コロナウイルス復興基金について、継続協議とすることを決定。新型コロナウイルス感染症の再拡大を受け、世界での追加経済対策の実施観測が強まっていることも、金にとっては支援材料。目先は、ワクチン開発を巡る思惑により上下動すると見られるが、年末にかけては再度上値を試す展開が見込まれる。 - 白金はもち合い、上値の重い展開に11月13日 15時50分今週の白金標準は上下動。米大統領選挙で民主党のバイデン氏が勝利を確実にし、米国が地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」に復帰すれば、環境規制の高まりを背景に、自動車の触媒に多く用いられる白金やパラジウムの価格が上昇する、との思惑が下支え材料となった。一方、新型コロナウイルス感染症の再拡大による世界経済の減速懸念が相場の上値を押さえ、国内市場は100日移動平均線(13日時点3012.6円)では押し戻された。
市場では、新型コロナウイルス感染症の再拡大により、欧州で外出制限が実施されているため、自動車触媒需要の減少が見込まれている。欧州は、自動車触媒に白金を多く用いるディーゼル車の普及割合が高い。また、新型コロナのワクチンや治療薬の開発期待を背景とした景気回復への期待感は、米国で自宅待機勧告など行動制限の動きも目立つことでやや後退。調整の売りなどにも圧迫されており、目先は上値の重い展開が続くと考えられる。 - 金は軟調、安値では買い拾われる動きに11月13日 15時48分今週の金標準は下落。米大統領選挙が事前の世論調査に反して接戦となり、バイデン氏の勝利が確実となったが、現職のトランプ米大統領が法廷闘争の構えを崩していないことで、政治経済の先行き不透明感の高まりから、安全資産としての買いが入り週明けに上伸。その後は、米製薬大手ファイザーが9日、独ビオンテックと共同開発中の新型コロナワクチン候補について、臨床試験(治験)で9割以上の確率で感染を予防する効果があったと発表。市場では、経済活動の正常化への期待が広がり、世界的な株式市場が上伸する一方、安全資産としての需要後退や換金売り圧力に押されて金は急落した。
しかし、12日の欧州中央銀行(ECB)年次フォーラムでは、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長やラガルドECB総裁など主要中銀トップが、最近の新型コロナウイルスのワクチン開発進展の報道については、不確実性が残ると慎重な姿勢を示した。また、新型コロナ感染再拡大を受け、東部ニューヨーク州や中西部イリノイ州シカゴ市は11日以降、経済活動への規制強化を表明。欧米での感染者急増を受けて景気先行きへの慎重姿勢が広がっている。また、ワクチン開発への楽観論は強いが、年内に供給できるワクチンは限られる上に医療関係者などに優先して提供されるため、半年程度はワクチンは一般に出回らないと見られている。このため、売り一巡後は再度買いなおす動きが強まると考えられる。また、米国での新型コロナ感染再拡大による経済の減速懸念が強まることで、世界各国の中銀による金融緩和姿勢が継続するのも、金利を生まない資産である金にとっては支援材料。そのため、来週は安値では買い戻され、押し目買いの展開になると予想する。 - 白金は上伸、上値の重い展開に11月6日 15時47分今週の白金標準は上伸。米大統領選挙を巡る思惑から、対主要国通貨でのドル安が進行。ドル建てNY白金が上伸した流れを映し、国内市場も反発した。ただ、100日移動平均線(6日時点3002円)からの上値は重く、高値からは値を削られている。
英国と欧州連合(EU)の自由貿易協定(FTA)を巡る交渉について、フロスト英首席交渉官は4日、協議をさらに延長する方針を発表。年末までの移行期間中に、将来関係をめぐる交渉を纏めることを目指しているが、合意した後の英国とEUの双方の議会での承認作業などの兼ね合いから、11月中旬が交渉の最終期限になるとの認識を示している。
ただ、英国では5日、新型コロナウイルス感染症の再拡大を受け、人口の85%を占めるイングランドで外出制限措置が再び導入された。新型コロナの拡大と、英国のEU離脱の時期が重なることで、英国とEUの貿易交渉が決裂すれば市場に大きな混乱が起きるとの懸念も根強い。また、米大統領選挙が接戦となり、バイデン氏が勝利しても、与党共和党は議会上院の過半数を保つため、政権と議会の「ねじれ現象」により民主党が掲げる増税や規制強化が実行され難くなるとの思惑も継続しており、政治経済に対する先行き不透明感が強い。これらの要因から世界経済の先行き不透明感が強いことは、工業用需要としての割合が高い白金の頭を押さえる要因となり、来週は上値の重い展開が見込まれる。