横谷 健司/アナリストの目

原油、米中対立で下値を試すか
2020/05/29 16:37:15

 中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)は28日、反体制活動を厳しく取り締まる「国家安全法」を香港に導入する方針を採択し閉幕した。クドロー米国家経済会議(NEC)委員長は、貿易や金融分野で「香港を中国と同様に扱う必要が出てくる可能性がある」と発言。米国が香港に認めてきた関税やビザ(査証)などの優遇措置に含みを持たせたことを背景に、米中両国の政治的な対立がお互いの経済制裁措置につながり、世界経済や石油需要に悪影響を与えることが懸念されている。
 米エネルギー情報局(EIA)が28日発表した22日までの1週間の米週間在庫統計で、原油在庫は前週比790万バレル増と、27日の清算値(終値)確定後に発表された米石油協会(API)の前週比870万バレル増に続いて、市場予想(190万バレル減)に反する結果となった。前週まで原油在庫は2週連続の減少となり、需給改善への期待感が広がっていただけに、来週の原油在庫が2週連続の増加となれば供給過剰観測が強まり、下値を試す可能性が強まりそうだ。
 ただ、世界各地で新型コロナウイルス対策の各種制限が緩和され、徐々に経済活動を再開し、原油需要回復への期待感が広がっているうえ、5月からは石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国による「OPECプラス」が日量970万バレルの協調減産を開始していることから、需給引き締まり観測も根強いため、下値は限定的となることが予想される。

 (注)上記の展望は5月29日夕方時点に作成されたものです。

●アナリスト紹介
 第一商品(株)フューチャーズ24、横谷 健司
 現在、フューチャーズ24にて、FAX・メール情報に掲載する市況作成等を担当。過去の価格変動や現在の世相を背景にした商品分析を得意とする。