横谷 健司/アナリストの目

原油は下値を試すか
2020/06/17 15:30:08

 6日に開かれた石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟国による「OPECプラス」の会合で、大規模減産を7月末まで延長することで合意したことから、NY原油は8日の夜間取引で3月6日以来約3カ月ぶりに40ドルの節目を回復したものの、同日の日中取引ではサウジアラビアなどが自主的な追加減産を打ち切ることを表明したことや、米国でシェール採掘企業が生産を回復させる計画を示したことが嫌気され、再び40ドルの節目を割り込んだ。
 その後も、米国の新型コロナウイルスの感染拡大「第2波」への警戒感が広がり、原油の需要減退観測が強まったことから、11日に大幅安となった。

 米国ではテキサス州やアリゾナ州など、早期に経済活動を再開した地域を中心に、新型コロナウイルスの感染者数が再び増加しており、米疾病対策センター(CDC)のバトラー副所長(感染症担当)は12日、感染者が劇的に増加すれば「3月に実施したような(移動規制などの)対策が再び必要になるかもしれない」と警告。
 米ワシントン大の保健指標評価研究所(IHME)は、感染の「第2波」が8月下旬に始まり、死者の累計が10月1日までに約17万人に上るとする予想を公表している。こうした一連の新型コロナに関する情報により、第2波が警戒され、世界経済や原油需要への悪影響が懸念されている。
 中国では北京市の食品卸売市場で集団感染が発生。市は「非常時に入った」と宣言した。新型コロナの感染が再拡大し、景気やエネルギー需要の回復が遅れることへの懸念が根強いことを背景に、目先の原油相場は下値を試す可能性が強そうだ。

 また、16日に発表された国際エネルギー機関(IEA)の月報で、2020年の石油需要見通しを従来から日量50万バレル上方修正し、21年の需要も前年比570万バレル増と予想され、同日の原油相場の支援材料となったようだが、21年の需要予想の中で、航空需要の回復の遅れなどを踏まえ、世界の需要は新型コロナウイルスの感染拡大以前に戻るのは22年以降になるとの見方を示しており、後ろ向きな内容も含まれていたことから、17日のOPEC月報で需要見通しが後ろ向きな内容となった場合、15日の安値34.36ドルを割り込む可能性が強まりそうだ。

●アナリスト紹介
 第一商品(株)フューチャーズ24、横谷 健司
 現在、フューチャーズ24にて、FAX・メール情報に掲載する市況作成等を担当。過去の価格変動や現在の世相を背景にした商品分析を得意とする。