横谷 健司/アナリストの目

NY原油、上値重い展開
2020/07/07 15:24:40

 6月29日に航空機大手ボーイングへの期待感から米株価が堅調に推移し、株価と並ぶリスク資産である原油を買う動きが先行したことや、2日の米雇用統計で、景気動向を反映する非農業部門の就業者数と失業率がそろって市場予想に比べて良好な結果となり、同日に終値ベースで6月23日以来40ドルの節目を回復したものの、新型コロナウイルスの感染再拡大への懸念が根強いため、エネルギー需要の減退観測が強まり上値重い展開となっている。

 新型コロナウイルスの感染抑制のため、米国では4月末までロックダウンを実施した。その間、失業者が急増したこともあり、制限解除を求める声が上がり、各州で段階的に経済活動を再開。人の移動とともに隔離疲れに対する反動や、大規模なデモなどが重なったことで、連日記録的な感染者の増加が見られている。米国の新型コロナウイルス感染による死者は6日に13万人を超え、感染者数は39州で増加し、今月に入り、16州で1日当たりの新規感染者数がこれまでの最多を更新している。
 米国は本来、独立記念日の7月4日前後からガソリン需要が盛り上がるドライブシーズンに突入するが、今年に関しては、新型コロナ感染拡大「第2波」が疑われる形になり、飲食店の営業再開が延期されるなどの事態になっており、予想ほどガソリン出荷が進まないのではないかという見方が広がっていることから、原油は上値重い推移となっている。

 米シェール開発大手チェザピーク・エナジーが6月28日、連邦破産法第11章に基づく保護の申し立てを行った。コロナ渦で需要が落ち込む中、過剰供給が進んだことでシェール開発の老舗が経営破綻に陥った。米国のリグ稼働数は減少の一途をたどっており、今後も厳しい業績を強いられているシェール企業の破綻が相次ぐ可能性はある。
 リグ稼働数の減少に歩調を合わせる格好で米国の原油生産量は減少していたが、原油価格が40ドルを回復した足元では生産量が若干回復している。経営破綻の連鎖により供給が減少するとの見方もあるが、油価の戻りが続くとシェール企業が息を吹き返す可能性があるため、40ドル超えでは上値が抑えられやすくなるだろう。

 新型コロナによるエネルギー需要の減退観測などから、目先も上値重い展開が予想されるものの、今週は7日に米エネルギー情報局(EIA)、10日に国際エネルギー機関(IEA)がそれぞれ、石油に関する月報を公表する。今後の世界石油需要見通しが上方修正されるかが焦点となっており、8日のEIAの週間在庫統計では、原油在庫の減少が続くかも注目されるため、内容次第では、6月23日の直近高値41.63ドルを試す可能性もありそうだ。

●アナリスト紹介
 第一商品(株)フューチャーズ24、横谷 健司
 現在、フューチャーズ24にて、FAX・メール情報に掲載する市況作成等を担当。過去の価格変動や現在の世相を背景にした商品分析を得意とする。