横谷 健司/アナリストの目

「原油は直近高値を試すか」
2020/07/29 15:25:59

 米国南部や西部を中心に新型コロナウイルスの新規感染者が急増していることから、米景気の先行き不透明感が広がり、原油の需要減退観測が強まったことから、20日に一時40ドルの節目を割り込んだものの、その後は米国や欧州、中国などの製薬企業から新型コロナのワクチン開発が順調に進んでいるとの報が相次いでいることから、21日に3月6日以来約4カ月半ぶりの高値を付けた。ただ、その後は米中間の緊張の高まりを受け、エネルギー需要の減退観測が広がり、上値重い展開となっている。

 米中対立の行方が注目材料となっている。米政府は在ヒューストン中国総領事館が「スパイ活動の拠点」になっていると指摘。同総領事館は24日、閉鎖された。中国政府は対抗措置として、四川省成都の米総領事館の設立許可取り消しを通告した。
 この間、ポンペオ米国務長官は習近平中国国家主席を「全体主義の本物の信奉者だ」と批判。中国も、閉鎖後の在ヒューストン総領事館に「米側が強制的に入った」と非難し、報復措置を取る姿勢を示しており、両国の対立は先鋭化している。両国は香港問題などでも対立しており、一層の関係悪化が世界景気の低迷とエネルギー需要減退を招きかねないとの思惑から上値が重くなっている。

 一方、27日には米バイオ医薬品企業モデルナが、新型コロナのワクチン候補について、最終となる第3段階の臨床試験(治験)を開始したと発表し、米株高の一因となり、こうしたリスクオンの流れが原油相場の押し上げ要因になっている。
 また、28日の清算値(終値)確定後に発表された米石油協会(API)の週間在庫統計で、原油在庫が市場予想の前週比40万バレル増に反して、同680万バレル減となった。在庫の減少について、主因は輸入の大幅減であり、石油需要の改善によるものではないとの見方が強いが、今夜の米エネルギー情報局(EIA)の週報でも同様の結果となれば、上値を試す展開が予想される。
 さらに、日本時間30日未明には米連邦公開市場委員会(FOMC)声明の公表と、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の記者会見が予定されており、景気回復を支援する金融政策に前向きな姿勢が示されれば、原油相場を押し上げ、7月21日の直近高値42.40ドルを試す可能性もありそうだ。

●アナリスト紹介
 第一商品(株)フューチャーズ24、横谷 健司
 現在、フューチャーズ24にて、FAX・メール情報に掲載する市況作成等を担当。過去の価格変動や現在の世相を背景にした商品分析を得意とする。