上野 隆/アナリストの目

NY原油、40ドル台前半でもみ合いか
2020/08/04 15:30:51

 ニューヨーク原油(WTI)相場は、7月30日に一時1バレル=38.72ドルまで下落。7月10日(38.54ドル)以来の安値を付けた。今年第2四半期の米国内総生産(GDP)速報値が前期比マイナス32.9%と、四半期統計を開始した1947年以降で最大の落ち込みを記録した。米国内での新型コロナウイルス感染拡大が続き、経済活動の低下に伴ったエネルギー需要の落ち込みへの警戒感も相場を圧迫した。
 その後発表された6月の米個人消費支出(PCE)が予想を上回ったほか、7月の米供給管理協会(ISM)景況指数が1年半ぶりの高水準を記録。また、7月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)が9年半ぶりの水準となるなど、2大エネルギー消費国である米中の指標を受けて、過度の警戒感が後退したため、40ドル台を回復する動きとなっている。
 ただ、ロイター通信が前週報じた7月の石油輸出国機構(OPEC)の産油量は、前月比で97万バレル増となった。サウジアラビアなどが自主的な追加減産を取りやめたことなどが原因となった。減産順守率は94%と6月の111%から低下した。5月までに減産目標を達成できなかったイラクやナイジェリアなどが7月分で不足分を相殺することで合意していたが、履行されなかったことが明らかとなり、今後の足並みの乱れが懸念される。ロシアなどのOPEC非加盟産油国を含めた「OPECプラス」は、8月から協調減産幅をこれまでの日量970万バレルから770万バレルに縮小することが決まっており、目先の需給の緩みがNY原油相場の重しとなる。
 ユーロ・ドル相場でのドル安基調が一服し、ドル建てエネルギー相場の割安感が和らいでいることも圧迫要因となることから、NY原油相場は、7月21日に付けた42.40ドルを上抜けるには材料不足となり、40ドル台前半でもみ合い推移が続くとみている。

●アナリスト紹介
 第一商品(株)フューチャーズ24、上野 隆
 現在、フューチャーズ24にて、FAX・メール情報に掲載する市況作成等を担当。広範な知識に基づいた情報分析や、テクニカルを駆使した商品分析を得意とする。2016年TOCOM石油アナリスト育成セミナー修了者。