村上 孝一/アナリストの目

NY金:新型コロナのワクチン開発遅れへの懸念などで上昇、今夜のECBに注目
2020/09/10 14:45:45

 9日のニューヨーク金は、新型コロナウイルスのワクチン開発遅れへの懸念や為替のドル安・ユーロ高に伴う割安感で買われ続伸。
 新型コロナウイルスのワクチン開発を巡り、米ファイザーや英アストラゼネカなど欧米の製薬会社9社は8日、接種した人の安全と健康を最優先して取り組むとの共同声明を発表。また、英製薬大手アストラゼネカは9日、英オックスフォード大と共同開発中の新型コロナウイルスのワクチンをめぐり、世界各国で臨床試験(治験)を一時中断したことを明らかにした。これらを受けて、ワクチン早期実用化への期待がいったん後退。新型コロナ対策の進展と景気回復をめぐって不透明感が再燃し、安全資産として金が買われた。
 日本時間の今夜に欧州中央銀行(ECB)定例理事会が開かれる。ブルームバーグ通信はユーロ圏当局者の話として、ECBが10日に発表する成長率とインフレ率の見通しは6月時点と比べてほぼ変わらない見込みで、今年の国内総生産(GDP)見通しは上方修正されると報じた。9日の外為市場ではこの報道を受け、ドル売り・ユーロ買いの動きが進行。
 今夜のECB定例理事会では、現行の大規模な金融緩和策の維持と政策金利の据え置きが決定されるとの見方が大勢。ただ、ECBのレーン専任理事が前月末の米ジャクソンホール会合で緩和的な姿勢を示しており、理事会後の声明やECBのラガルド総裁の記者会見で金融緩和の長期化観測が強まるようだと、為替のドル高・ユーロ安が進行し、ドル建てで取引される金は割高感から売られる可能性もある。
 しかし、米FRBに続き、ECBの金融緩和の長期化観測が強まれば、金利の付かない資産である金を支える材料。中・長期的にも世界的な低金利環境は金買い材料として継続することが予想される。