横谷 健司/アナリストの目

原油は米中関係悪化で35ドル割れか
2020/09/11 13:22:27

 10日に発表された米エネルギー情報局(EIA)の週間在庫統計で、4日までの1週間の原油在庫が前週比200万バレル増と、9日の清算値(終値)確定後に発表された米石油協会(API)の同300万バレル増に続き、市場予想(同130万バレル減)に反して積み増しとなったことに加え、製油所のメンテナンスシーズンを控えていることや、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大などを背景に需要減退観測が再燃している。
 また、英石油大手BPがマレーシア沖で原油を保管するためスーパータンカーを今年最低水準の料金でチャーターしたと報じられた。これは陸上の貯蔵施設がほぼいっぱいの状態が続いていることの影響とみられるため、こちらも需要減退観測を後押ししている。

 米議会上院は10日、与党共和党がまとめた約5000億ドル(約53兆円)に上る追加の新型コロナウイルス経済対策法案の採決動議を否決。与野党の対立は根深く、11月の大統領選前に追加策が成立するかは微妙な情勢となっており、米景気の先行き不透明感が台頭し、投資家のリスク回避姿勢が広がっている。

 11月の米大統領選を控える中、このところ対中強硬姿勢を強めているトランプ米大統領の支持率は、依然として民主党の大統領候補バイデン前副大統領の後塵を拝している。トランプ氏が「中国叩きは票につながる」と考えれば、目先もさらなる強硬策に出る可能性もあるため、トランプ氏の出方次第では米中関係が一段と悪化するとの見方から、投資家のリスク回避姿勢が広がり、株価と並ぶリスク資産である原油は、8日の直近安値36.13ドルを割り込み、6月15日以来となる35ドル割れを試す可能性もありそうだ。