横谷 健司/アナリストの目

原油は直近安値を試すか
2020/09/16 13:38:02

 NY原油は連休明け8日に6月中旬以来約3カ月ぶりの安値36.13ドルを付けた後は、前週の官民在庫統計で発表された米原油在庫がともに減少予想に反して増加となったほか、石油輸出国機構(OPEC)は14日、国際エネルギー機関(IEA)が15日に公表した月報で、2020年の世界需要見通しをそれぞれ下方修正し、需要減退観測が強まったものの、メキシコ湾岸へのハリケーン「サリー」接近による供給懸念を背景に下げ渋る展開となっている。

 OPECは14日発表した月報で、今年の世界全体の需要は9023万バレルと予想。従来予想(9063万バレル)から下方修正。新型コロナウイルスの感染再拡大で、今年後半の世界経済の回復が鈍化すると見込んだ。来年の世界需要の見通しについても、9686万バレルと従来予想(9763万バレル)から引き下げた。
 IEAも15日発表した月報で、今年の世界全体の需要は9170万バレルと予想。従来予想(9190万バレル)から下方修正。2020年下半期には石油需要の回復ペースが著しく減速すると予測。経済が本格回復するには数カ月を要するだろう。さらに、新型コロナ第2波によって移動が再び抑制される可能性があるとの見解を示した。
 新型コロナの影響で、原油の需要回復が想定よりも遅れるとの見方が強まっており、需要減退観測が再燃している。

 15日の清算値(終値)確定後に公表された米石油協会(API)の週間在庫統計で、11日までの1週間の原油在庫は前週比950万バレル減の約4億9460万バレルと、市場予想(同130万バレル増)に反して大幅な取り崩しとなった。
 今夜の米エネルギー情報局(EIA)の週報でも、原油在庫の大幅な減少が示された場合、一時的に4日以来となる40ドルの節目を試す可能性はあるものの、現在は季節的にガソリンからヒーティングオイルに需要が移る端境期で、原油在庫への関心は薄れていることから、戻りは限定的となることが予想される。
 ハリケーン「サリー」接近による供給懸念も支援材料となっているが、8月下旬に「ローラ」が接近した時は8月26日に43.78ドルの高値を付けた後は、9月8日には36.13ドルまで水準を切り下げており、需要減退観測が再燃している現状では、ハリケーン通過後にも9月8日の直近安値を試す可能性が強まりそうだ。