盛川 貴洋/アナリストの目

白金標準は下落、目先は下値を試す動きか
2020/09/18 15:38:40

 今週の白金標準は、自動車触媒用需要の回復や米連邦準備制度理事会(FRB)が、新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた経済のてこ入れのため、一段の刺激策を打ち出すのではないかとの期待感などを手掛かりに週明けから上伸し、先限8月限は17日高値3304円をつけ、8月19日(高値3319円)以来、1カ月ぶりの高値を記録。しかし、16日に発表された米連邦公開市場委員会(FOMC)では、ゼロ金利政策が2023年末まで継続することなどが打ち出されたものの、市場の想定の範囲内だったことや、追加緩和策の示唆もさほど強くなかったことから、対主要国通貨でのドル高が進行。ドル建てNY白金が下落した流れを映し、国内の白金も急反落し、値を消した。

 供給面では南アフリカ共和国の統計局が10日、2020年7月の鉱業生産統計を発表。対前年同月比でPGMが4.6%増(前月比37.0%増)、金10.2%減(前月比6.8%増)となり、新型コロナウイルス感染症にともなう都市封鎖(ロックダウン)により減少していた鉱山採掘量が回復傾向にあることも、相場の上値を押さえる要因となる。

 なお、日本と英国の両政府は11日、新たな貿易協定を大筋合意。英国の欧州連合(EU)離脱に伴う2国間貿易の混乱は回避できる見通しとなった。また、新たな協定には、日立製作所や日産自動車など英国進出企業に恩恵のある関税の撤廃が盛り込まれ、自動車生産の回復への期待感が強まったことは、白金の工業用需要の回復への期待感を強めた。しかし、英国と欧州連合(EU)間の貿易交渉は難航している。欧州は白金を自動車触媒に多く用いるディーゼル車の普及割合が高く、英EU交渉が決裂し、関税が双方で復活すれば、サプライチェーン(部品供給網)の混乱を通じて同地域経済での自動車生産能力に多く影響を与えることになるとの指摘も聞かれ、白金にとっても弱材料。このため当面の上値は重く、短期的には9月4日安値3041円を視野に下値を試す動きが見込まれる。