村上 孝一/アナリストの目

ニューヨーク金:株安とドル高で急落、安値での投資需要は根強い
2020/09/23 14:25:05

 日本市場が3連休中のニューヨーク金は、欧州での新型コロナウイルス感染拡大による欧米株価の大幅安や為替のドル高・ユーロ安で急落。中心限月の期近12月限は21日に1885.40ドルと、中心限月の継続足で8月12日(1874.20ドル)以来1カ月ぶりの安値を付けた。
 欧州で新型コロナウイルス感染が急拡大し、英国などでは厳しい外出制限が再び導入される可能性が取り沙汰される中、景気悪化懸念が再燃。さらに欧米の金融機関を舞台にした巨額のマネーロンダリング(資金洗浄)疑惑も浮上したことから、21日の欧米株式市場は大幅安となり、換金目的の売りが出た。
 また、外国為替市場では欧米株価の大幅安に加え、米国でギンズバーグ連邦最高裁判事の死去を受けた後任選びで議会与野党の対立が見込まれ、新型コロナ危機に対応した追加経済対策の行方をめぐる不透明性が高まったことを受け、安全資産としてドルが買われ上昇。主要6通貨で構成されるドル指数は約2カ月ぶりの高値を付けた。ドル建てで取引される金はドル高による割高感で売られやすくなっている。
 前述の要因を背景に投資家のリスク回避姿勢が強まり、資金の逃避先としてドルや米国債などが買われた。ただ、安全資産とされる金は最近の上値重い動きから、株安で生じた損失補てんのため利益確定の売りが出た。また、ニューヨーク市場では「金と株の両方が下落したことは、投資家が現金を求めている」との指摘も聞かれた。
 しかし、ニューヨーク証券取引所に上場されている世界最大規模の金ETF「SPDRゴールド・シェア」現物保有量が、9月21日に1278.82トンと8月初旬に記録した今年の最高水準を上回り、2013年2月後半以来の高水準となったことは、安値での金投資需要が根強いことを示している。また、新型コロナウイルスの感染拡大による景気悪化懸念と、マネーロンダリング疑惑で欧米の大手金融機関に対する信用低下が強まるようだと、投資家のリスク回避の動きも一段と強まり、安全資産とされる金への需要も期待される。