盛川 貴洋/アナリストの目

白金標準は下落、目先は上値の重い展開に
2020/09/25 15:41:46

 今週の白金標準は大幅下落。9月17日高値3304円から25日安値2816円まで488円(14.8%)急落し、100日移動平均線(25日時点2950円)を下抜いた。その後は買い戻されたが上値は重く、7月下旬に急騰して以降の上げ幅を消した格好。来週は、短期的に買い戻されるが、前述の100日移動平均線が上値抵抗線となり、目先の戻り高値は売られる展開になると予想する。

 各国政府・主要中央銀行による新型コロナウイルス感染症の対応で減速した世界経済を支えるための金融緩和策が継続する中で、8月初旬に金相場が史上最高値を連日更新。貴金属として白金も買われて値位置を切り上げた後は、中国経済の回復にともなう自動車触媒需要の回復期待や、主要白金生産国の南アフリカ共和国での減産などの要因から高止まりしていた。しかし、これらの強材料は既に一通り織り込まれ、相場は調整局面入り。現在の白金相場は、7月末からの急騰以前の水準に値を戻している。

 今後、上値を追うためには、世界経済の回復への期待感が高まり、自動車生産販売台数が増加するなどの材料が必要になる。しかし、英国と欧州連合(EU)間の貿易交渉は難航している。欧州は白金を自動車触媒に多く用いるディーゼル車の普及割合が高く、英EU交渉が決裂し、関税が双方で復活すれば、サプライチェーン(部品供給網)の混乱を通じて同地域経済での自動車生産能力に多く影響を与えることになり、白金にとっても弱材料。また、国連安全保障理事会で24日開かれた「新型コロナウイルス禍後のグローバル・ガバナンス(多国間統治)」を討議するオンラインの公開会合で、米中両国は再び激しく応酬しており、米国と中国の対立激化懸念も深刻化している。

 21日の国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)と、提携メディアによる大手金融機関のマネロン疑惑報道や、23日のブルームバーグ通信による、米金融大手JPモルガン・チェースが、貴金属先物市場と債券市場で不正操作したとして、米金融規制当局に10億ドル近くを支払う方向で協議しているとの報道も、心理的な圧迫材料。これらの報道を受け、史上最高値を更新していた金へ手じまい売りが入ると共に、安全資産としてドルが買われた要因。ドル建て白金は、金の下落になびいた売りとドル高をみた割高感からの売りにも頭を抑えられ、100日移動平均線の水準では戻り売り圧力が強まると考える。