横谷 健司/アナリストの目

原油は下値を試すか
2020/09/30 13:34:35

 石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの非加盟産油国で構成する「OPECプラス」が17日に開催した共同閣僚監視委員会(JMMC)は、イラクやナイジェリア、アラブ首長国連邦(UAE)などに対し、5〜7月の過剰生産を相殺するための減産強化を要求。10月に臨時会合を行う構えを示したことを受け、需給の緩みに対する警戒感が後退し、NY原油は18日に戻り高値となる41.49ドルを付けた後は、40ドル近辺での推移となっていたものの、29日に世界的な景気低迷を背景としたエネルギー需要の減退観測が広がったため下値を切り下げ、16日以来約2週間ぶりの安値を付けた。

 米エネルギー情報局(EIA)が前週発表した週間在庫統計で、9月18日までの米国内の原油在庫は2週連続で減少し、NY原油を下支える材料となった。ただ、この減少はハリケーン通過に伴うメキシコ湾岸の油田の生産停止や輸入ターミナルの閉鎖が原因で、一過性との見方が広がっている。世界最大の石油需要を誇る米国はドライブシーズンが終了したことで、ガソリン需要期のピークを過ぎ、冬場のヒーティングオイルの需要期の端境期にあることから、今週の週報では在庫は本来の増加基調に戻り、NY原油の圧迫材料となることが予想される。
 29日の清算値(終値)確定後に公表された米石油協会(API)の週報では、前週比83万1000バレル減となり、アナリスト予想の同160万バレル増に反して取り崩しとなった。今夜のEIA週報で、原油在庫が3週連続の減少となるかが注目される。

 欧州連合(EU)と英国は28日、EU離脱(ブレグジット)に関する国際条約「離脱協定」の履行を監視する合同委員会の会合をブリュッセルで開いた。EUは英政府が英下院に提出した離脱協定の一部をほごにする法案が成立すれば「国際法違反になる」として問題部分を月内に撤回するよう改めて求めたが、英側は応じず、同日の協議は平行線に終わった。
 英国のEU離脱の行く末に不透明感が広がっていることから、為替相場がドル高・ユーロ安に傾きやすくなっており、ドル建てで取引される原油の割高感を強めることになりそうだ。

 世界石油商社大手の幹部は29日、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の影響により、今後数カ月または数年は、石油需要の回復は鈍く、原油価格は低迷するとの見通しを示したことを受け、世界的な景気低迷を背景としたエネルギー需要の減退観測が広がっているうえ、米野党民主党のペロシ下院議長は29日、与党共和党の予算規模を大きく上回る2兆2000億ドル規模の新たな法案を提示したことを背景に、与野党協議の早期合意に対する期待感が後退し、米景気の先行きに対する不透明感が広がっていることも、エネルギー需要の減退観測につながるため、目先は8日の直近安値36.13ドルを試す展開が予想される。