横谷 健司/アナリストの目

米大統領の新型コロナ陽性で、流れが一転か
2020/10/02 15:21:22

 欧州での新型コロナウイルスの感染再拡大や、英国と欧州連合(EU)の貿易交渉の難航などを背景に、ドルが対ユーロで堅調に推移し、ドル建てで取引される金の割高感が広がり、NY金は9月24日の時間外取引で、7月22日以来約2カ月ぶりの安値1851.00ドルを付けた後は、世界景気の先行きに対する懸念や主要中銀による低金利政策の長期化観測などを背景に、金利の付かない金を買う動きが広がったほか、米追加経済対策の実現が見通せないことで、安全資産の金買いが優勢となり、9月29日に1900ドルの節目を回復するなど、戻りを試す展開となっている。
 大阪取引所の金標準も9月25日に、7月21日以来約2カ月ぶりの安値6269円を付けた後は、10月2日に6500円手前まで値を戻している。

 注目されていた日本時間9月30日午前の米大統領選候補による初のテレビ討論会では、新型コロナ危機で有権者の関心が高まった経済分野の議論はかみ合わず、共和党のトランプ大統領は自身の税金未払い問題に矛先を向けられ、米中貿易摩擦への対応や税制改革のアピールで攻勢に転じる目算が狂った。民主党のバイデン前副大統領も力強さに欠け、終盤戦に向け支持拡大につながるまでには至らなかった。
 終盤の郵便投票に対するトランプ氏の不正への執着的な指摘により、大統領選後の混乱が意識されたことや、バイデン氏が無難に乗り切ったことからバイデン氏優勢との見方が広がり、結果的にリスク回避の「ドル買い」が優勢となり、ドル建てで取引される金の割高感が強まったものの、最近のレンジ内取引を抜け出すような材料にはならなかった。

 トランプ米大統領は2日、側近のヒックス氏の新型コロナ陽性が判明したことを受け、メラニア夫人とともに検査を受けた結果、新型コロナの陽性になったと明らかにしたことから、一時はリスク回避の「ドル買い」が優勢となったものの、時間とともにドルが売り戻されたため、2日付のNY金の夜間取引では、安全資産の金買いが優勢となり、安値から値を戻している。
 ただ、トランプ氏のコロナ陽性判明をきっかけにして日経平均株価が下げ幅を拡大しており、今夜の米株価が急落となれば、リスク資産である株価と金の連動性を再び高める可能性もあるため、株価動向次第では下値抵抗線とされる1850ドルを試す可能性もありそうだ。

 大阪取引所の金標準はトランプ氏のコロナ陽性を背景に、リスク回避の「円買い」による円高・ドル安により戻りが鈍くなっている。
 トランプ氏は11月の米大統領選に向けて、バイデン氏と最終盤の戦いを続けているが、今後、トランプ氏周辺で感染が拡大した場合、米大統領選に影響を与える可能性が高まるため、一段と円高・ドル安が進展することが予想されることから、9月25日の直近安値6269円を試す展開が予想される。