盛川 貴洋/アナリストの目

白金標準は上伸、目先は上値を試す展開に
2020/10/02 15:45:59

 今週の白金標準は上伸。9月25日安値2816円をつけた後は、南アフリカ共和国からの供給減少見通しや中国での自動車販売台数の回復などを手掛かりとした買い戻し主導に上伸し、100日移動平均線を上抜いた。26日には、新型コロナウイルスの感染拡大で4月の開催が延期されていた2020年の第16回北京国際モーターショーが正式に開幕され、中国での自動車触媒需要の回復へ期待が高まったことが支援材料。中国汽車工業協会(CAAM)が10日に発表した8月の同国内の自動車販売台数は219万台で前年比11.6%増加。5カ月連続の増加となり、コロナ禍による落ち込みからの回復基調を維持している。白金は需要回復への期待感から短期的には上値を試す展開が見込まれる。

 中国国内の自動車販売の回復ペースは予想を上回り、4月から7月まで、自動車月間販売台数は前月比10%増加した。2020年下半期においても中国国内の自動車販売は伸びる予想だが、成長率はやや下回る可能性があるとされる。また、中国の新環境規制である「国6」排出基準に定めている白金族金属搭載量の増加も白金価格の支援材料。白金と共に排ガス除去装置の触媒に用いられるロジウム価格は今年に入り急騰し、年初の1トロイオンス=6000ドル前後から1万4000ドル前後まで上昇。南アからの供給量が不足していることも、自動車触媒としての白金系貴金属の価格を押し上げている。

 ただ、英国と欧州連合(EU)の自由貿易協定(FTA)交渉を巡る思惑も上下動する要因。フィナンシャル・タイムズ紙の記者が英国とEUのFTA交渉で懸案となっている企業補助金問題をめぐり、双方が折り合える妥協点が見えてきたという英政府関係者の話をツイートしたことで、合意への期待がふくらんだ。しかし、EU当局者は「(ツイートは)英国の情報操作だ。根拠がない。妥協点が視野に入ってきたという兆候はない。公平な競争でも、漁業でもだ」と打ち消した。欧州は白金を自動車触媒に多く用いるディーゼル車の普及割合が高く、英EU交渉が決裂すれば、白金にとっては弱材料となるため上値も限られる。このため、9月17日高値3304円から9月25日安値2934円の半値戻しとなる3120円の水準を突破できないようであれば値を崩し、再度2800円を視野に下落する可能性もある。