横谷 健司/アナリストの目

原油は直近高値を試すか
2020/10/07 13:54:12

 9月30日に米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間在庫統計で、原油在庫が増加予想に反して3週連続で減少したことから、エネルギー需要の減退観測が後退したほか、新型コロナウイルス危機に対応した追加経済対策に関し、ムニューシン米財務長官と野党民主党のペロシ下院議長が難航する与野党協議の打開への期待感をそれぞれ表明したことを背景に、同日に終値ベースで40ドルの節目を回復した。
 ただ、その後は1日に欧州で新型コロナ感染の第2波への警戒感が広がり、エネルギー需要の減退観測が再燃し大幅反落となった後も、2日未明にトランプ米大統領が新型コロナに感染したことを明らかにしたことで、政局不透明感や景気の先行き不透明感が膨らみ、9月9日以来約1カ月ぶりの安値を付けるとともに、1日に続いて大幅続落となったが、5日にトランプ氏の病状回復が伝えられたことや、ハリケーン襲来に伴う供給懸念が広がり、6日には再び40ドルの節目を回復した。
 2日のNY原油の大幅安を受け、5日の東京原油は6月29日以来約3カ月ぶりの安値を付けたが、5日のNY原油の切り返しを背景に、一時2万9000円台を回復している。

 米メキシコ湾岸で操業するエネルギー各社は6日、5段階分類で2番目に強く危険なレベルとされる「カテゴリー4」に発達したハリケーン「デルタ」の接近に備え、湾岸の石油精製施設の操業を相次ぎ停止し、作業員を避難させている。デルタは10日にルイジアナ州に上陸すると報じられており、それまでは相場を下支える材料となりそうだ。
 前回、「サリー」が接近した9月15日以降は米原油在庫の減少も伴い、同日の安値37.06ドルから、18日の直近高値41.49ドルにかけて4.43ドル上昇した。6日の清算値(終値)確定後に発表された米石油協会(API)の週間在庫統計では、原油在庫が前週比95万1000バレル増と、市場予想の29万4000バレル増を上回る積み増しとなったが、今夜の米エネルギー情報局(EIA)の週報で、原油在庫が増加予想に反して4週連続で減少となれば、18日の直近高値を上抜く可能性もありそうだ。
 また、ノルウェー労組「レダーン」は6日、賃金交渉が合意に達しない限り、現在のストを10日以降も続けると表明したことから供給懸念も広がっている。

 トランプ氏は6日、新型コロナウイルスをめぐる追加の経済対策に関し、野党民主党が妥協しないことを理由に「11月の大統領選後まで交渉の打ち切りを指示した」と表明。これを受けて経済の先行き不透明感が広がり、米株価が下落したことから、株価と並ぶリスク資産である原油にも下値に対する警戒感が強まっている。
 ただ、トランプ氏の発言は駆け引きの面もあるとの見方や、大統領選でトランプ氏、バイデン氏、どちらが勝利しても、追加経済対策は早期に決定しなければならないという認識は変わっていないことを背景に、日経平均株価が下げ渋っているため、目先のNY原油は18日の直近高値、東京原油は23日の直近高値2万9450円を試す展開が予想される。