横谷 健司/アナリストの目

金は米大統領の討論会拒否で波乱も
2020/10/09 14:12:20

 トランプ米大統領が新型コロナウイルスに感染したことを2日未明に公表し、一時リスク回避姿勢が広がったものの、その後は5日にトランプ氏が退院したことからリスク回避姿勢が後退するなど、トランプ氏のコロナ騒ぎを受け、10月のNY金は始まった後、ドルが対ユーロで軟調に推移したことを背景に、ドル建てで取引される金の割安感が強まり、一時は戻り高値1927.00を付けた。
 ただ、その後はトランプ氏が6日、新型コロナをめぐる米与野党協議を打ち切ると表明したが、翌7日には、航空会社支援策や中小企業支援策、1人当たり1200ドルの現金給付については支持する考えをツイッターに投稿したことから、追加経済対策への期待感が広がり、リスク回避姿勢が後退するなど、NY金はトランプ氏の言動に振り回される展開となっている。

 15日に2回目の大統領選候補による討論会が予定されているが、トランプ氏はオンラインによる開催を拒否する姿勢を表明しており、同日の討論会だけでなく、11月3日の大統領選にまで影響を及ぼすとの見方も出ている。
 トランプ氏は自身が米大統領選に敗れた場合、不正があったとみなして連邦最高裁に持ち込むことを示唆しており、円滑な政権移行を拒む可能性がある。2000年のブッシュ氏とゴア氏の米大統領選の結果が連邦最高裁で争われたケースでは、最終決着まで5週間かかったことで、米景気の先行き不透明感が広がり、7日以降に米株価は500ドルを超える下落となった。
 7日に開催された共和党のペンス副大統領と民主党のハリス上院議員による副大統領候補討論会では、CNN等の調査でハリス氏が勝利したと評価される。9月29日の第1回大統領候補討論会では、バイデン氏の支持率が高まったとされているだけに、トランプ氏が15日の討論会を拒否するようなことになれば、安全資産の金重要が高まることが予想されるため、NY金は9月16日以来約1カ月ぶりの高値となる1983.80ドルを試す展開が予想される。

 大阪取引所の金標準はNY金が安全資産の金買いで1カ月ぶりの高値を付けるようなことになれば、同時期の高値水準となる6700円台を回復する可能性はあるが、国内市場は安全な通貨とされる「円買い」による円高・ドル安が上値を重くする可能性もありそうだ。