盛川 貴洋/アナリストの目

白金標準は下落、100日移動平均線を割り込む
2020/10/09 15:46:31

 今週の白金標準は下落。週明けは米追加経済対策をめぐる楽観的な見方や対ユーロでのドル安を受け、ドル建てNY白金が上伸した流れから買いが入り、先限は6日高値3059円まで上伸した。しかし、6日のNY市場は、新型コロナウイルスの追加経済対策をめぐる米与野党協議に翻弄された。株価が協議進展期待から上昇後、トランプ米大統領の協議停止発表を受けて大幅に下落。ただ同氏はその後、航空会社支援策や中小企業支援策、1人当たり1200ドルの現金給付については支持する考えをツイッターに投稿した。これを受けて、追加経済支援に対する期待が広がったことで安値からは買い戻されたが、100日移動平均線(9日時点2987.9円)を割り込んだ水準で推移している。

 トランプ大統領は新型コロナウイルス感染症に感染し、週末に入院したが5日に退院。ただ、15日に開催される第2回大統領討論会への参加を拒否している。7日に開催された副大統領候補討論会では、米CNNの調査では民主党候補のハリス上院議員が勝利したとされるものの、現職のペンス副大統領と比べ具体的な対策に乏しいとの指摘も聞かれ、大統領選挙の行方は未だに判らない。しかし、全体的にはバイデン大統領候補の支持率が高まっており、金融市場は財政拡大の思惑から、米国株上昇、米金利上昇、ドル安に動いており、工業用需要の割合の高い白金にとっては支援材料となっている。

 また、英国と欧州連合(EU)の自由貿易協定(FTA)締結交渉の期限を来週15日に控え、市場の緊張が高まっている。欧州自動車工業会(ACEA)など欧州自動車業界の23団体は9月14日、FTA交渉が決裂した場合、2025年までに1100億ユーロ(約13兆円)の損失が発生し、1460万人の雇用に影響が及ぶとの試算を公表している。FTAがないまま12月31日の移行期間を終了した場合、関税は乗用車で10%、商用車で最大22%となるため、自動車の需要が大幅に減少。新型コロナウイルス感染症の拡大により既に減少している自動車生産に大きな打撃となると考えられており、この場合も欧州での自動車触媒用需要の割合の高い白金にとっては弱材料。このため、来週は英国と欧州連合(EU)の貿易交渉の行方を睨みながら、上値の重い展開になると考えられる。