横谷 健司/アナリストの目

金は12日高値を試すか
2020/10/16 14:23:35

 米大統領選で民主党のバイデン候補が勝利すれば大規模な財政出動が打ち出されるとの思惑からドルが売られ、ドル建てで取引される金の割安感が広がり、NY金は9日に大幅続伸となった後も、コロンブスデーの祝日で、債券・外為市場が休場となった12日には、9月21日以来約3週間ぶりの高値1939.40ドルを付けた。
 ただ、新型コロナウイルスに対応した追加経済対策をめぐる米議会の行き詰まりを背景に、ドルが対ユーロで堅調となり、ドル建てで取引される金の割高感が強まったことから、13日に再び1900ドルを割り込む急落となった後は、米議会の駆け引きや、大統領選の行方を見守る中、1900ドルを挟んだ推移となっている。
 大阪取引所の金標準は、NY金が1900ドル近辺のレンジから抜けきらないことに加え、円相場が10月に入ってほぼ105円台での推移となっていることから、6500円近辺でのレンジ内取引となっている。

 前日から本日にかけて開催される英国と欧州連合(EU)の自由貿易協定(FTA)の締結交渉では、ジョンソン英首相が合意期限としていた15日に、EUが交渉継続の方針を確認した。本日は英国が継続か打ち切りかの判断を表明する予定だが、会議で何も決まらなかったら、為替はドル高・ユーロ安となり、ドル建てで取引される金の割高感が強まることになりそうだ。

 英国、フランス、スペインなど欧州各国が、新型コロナ感染の再拡大に伴いロックダウン(都市封鎖)や夜間外出禁止など感染予防措置を強化すると発表したことから、投資家のリスク回避姿勢が広がり、安全資産の金を押し上げている。
 米国では新型コロナ追加経済対策の協議をめぐり、ムニューシン財務長官が14日、シンクタンク主催のイベントで、11月3日の大統領選前の追加対策の合意は「難しいだろう」と発言したことに加え、トランプ氏は15日、政権が提案する1兆8000億ドルの対策からの規模拡大に応じる姿勢を明らかにしたが、与党共和党のマコネル上院院内総務は、共和党上院議員のほぼ全員が5000億ドルの支援が好ましいと考えていると述べ、政権の方針に難色を示したことで、早期の対策実現には懐疑的な見方が広がっていることなどを背景に、目先のNY金は12日高値を試す展開が予想される。
 金標準はリスク回避姿勢が強まると、安全な通貨とされる「円買い」による円高・ドル安が上値を重くするが、NY金が12日高値を試した場合は、金標準も12日高値6568円を試す展開が予想される。