村上 孝一/アナリストの目

米国の財政赤字拡大、金相場を支える材料に
2020/10/19 14:25:03

 新型コロナウイルスに対応した追加の経済対策をめぐる米与野党協議の難航や、欧州での新型コロナウイルスの感染拡大などから、外国為替市場では安全資産とされるドルが底堅く推移。ドル建てで取引されるNY金はドル高による割高感に圧迫されており、中心限月の期近12月限は1900ドル台前半では上値重い動きが続いている。
 米民主党のペロシ下院議長は10月18日、新型コロナウイルスに対応した追加の経済対策をめぐる政権与党側との相違点を認めつつも、11月の大統領選挙日までに成立することに「楽観している」と述べた。ただ、そのためには48時間以内に政権側と合意が得られる必要があるとした。ペロシ氏の交渉相手であるムニューシン財務長官は20日までに中東に滞在するため、成立に対する望みは薄いとみられている。

 ただ、新型コロナウイルスに対応した経済対策は引き続き、金相場を中・長期的に支援する材料になることが予想される。
 2020会計年度の米財政収支の赤字額は3兆1319億1700万ドルと、これまで赤字額が最大だった世界的な金融危機リーマン・ショック後の2009会計年度(約1兆4000億ドル)の2倍超と、新型コロナウイルス感染拡大を受けた大規模な経済対策が響き、過去最悪となった。
 新型コロナウイルスによる景気後退を受けて米政府は既に3兆ドル近くの対策を実施。追加対策を巡る与野党協議は難航しているものの、ともに財政出動を続けていく必要性では一致している。さらに、米大統領選ではトランプ大統領が中間層減税、バイデン氏が環境インフラ投資を公約するなど、ともに大型財政出動を志向しており、財政赤字の膨張が長期化するのは必至。
 新型コロナウイルスによる経済対策優先で財政健全化が棚上げとなれば、金相場は中・長期的にインフレ懸念や通貨価値の低下懸念が支援材料となり、こうした懸念が一段と強まる状況となれば、上値を伸ばす動きになることが予想される。