村上 孝一/アナリストの目

NY金展望、24日の安値を維持できるかがポイント
2020/11/27 15:21:31

 今週のNY金は投資家の選好意欲が高まる中、株式などのリスク資産が買われる一方、安全資産とされる金は売られたことで大幅安。24日には中心限月の期近12月限が7月中旬以来となる1800ドルの節目を割り込む場面もあった。
 英製薬大手アストラゼネカと英オックスフォード大は23日、共同開発中の新型コロナウイルスワクチンが最終段階の臨床試験(治験)で平均70%の効果を示したと発表。米製薬大手ファイザーと独バイオ医薬品企業ビオンテック、米バイオ医薬品企業モデルナに続くワクチン開発進展の報を受けて、市場では経済正常化への期待が広がっている。
 前述の要因に加え、トランプ米大統領がバイデン氏への政権移行手続きを容認し政権交代をめぐる先行き不透明感が薄れたこともあり、金の上場投資信託(ETF)から投資資金が流出。ニューヨーク証券取引所に上場されている世界最大規模の金ETF「SPDRゴールド・シェア」現物保有量は11月25日現在で前月末比62.89トン減少の1194.78トンと、2020年7月6日(1191.47トン)以来4カ月半ぶりの低水準となった。
 ただ、足元をみると欧米を中心に新型コロナウイルス感染拡大に歯止めが掛からず、経済活動を再規制する動きも拡大している。米労働省が25日に発表した週間新規失業保険申請件数は2週連続で増加したことは、新型コロナウイルス感染再拡大や経済活動再規制を背景にレイオフが増加し、労働市場の回復を阻害している可能性を示唆している。また、米連邦準備制度理事会(FRB)が25日公表した連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、参加者が「新型コロナウイルス感染再拡大が景気回復の下振れリスク」と指摘。米国で感謝祭休暇明け後も感染拡大が続くようだと、新型コロナウイルスのワクチン開発進展による経済正常化への期待が弱まる一方、安全資産とされる金の魅力が高まることが予想される。
 NY金は中心限月の期近2月限(27日から限月変更)が、中心限月の継続足で24日に付けた安値1797.10ドルを維持できるかがポイント。新型コロナウイルスの感染拡大により、ワクチン開発進展による売り圧力が軽減される一方、安全資産としての金の魅力が高まり、24日安値を維持できれば、同水準が底値として意識され買いが先行する相場展開が予想される。一方、24日の安値を割り込んだ場合、買い方の手じまいなどの売りが加速し、1750ドルの節目を試す可能性がある。