盛川 貴洋/アナリストの目

金は下落、投資家のリスク選好姿勢の高まりを背景に
2020/11/27 15:30:55

 今週の金標準は大幅下落。新型コロナウイルスのワクチンの実用化が実現すれば経済が正常化するとの期待感や、バイデン次期米大統領への政権移行作業が認められ政治的な不透明感が薄れたことなどを背景に、投資家のリスク選好姿勢が高まり、安全資産とされる金が売られる一方、世界的に株価が上伸。米国では24日、優良株で構成するダウ工業株30種平均が初めて3万ドルの大台に乗せた。

新型コロナウイルス感染症のワクチン開発による将来的な景気回復への期待感から、新型コロナ収束の恩恵が大きい金融やエネルギー、航空、レジャー株などへと投資家の資金が流入していることも、金相場が下落した要因。ただ、米国では、新型コロナの感染が再び急拡大し、経済活動を再規制する動きも広がっている。また、日本でも新型コロナウイルスの国内の重症者数が26日に過去最多を更新。ワクチン開発を背景とした経済への楽観姿勢は時期尚早との見方も根強い。

米連邦準備制度理事会(FRB)は25日、11月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を公表した。その中で、米FOMC参加者は、資産購入プログラムが経済に緩和効果をもたらしたとの見解で一致。経済の回復が予想より速く、速やかな国債購入の修正は必要ないが、「新型コロナウイルス感染再拡大が景気回復の下振れリスク」と指摘。景気を下支えする量的緩和策に関し、「比較的近く指針を強化する」可能性を議論しており、新指針を12月15日、16日の日程で開催される次回の政策会合で決める可能性もある。米国の追加経済対策は来年まで合意が得られないとの見方も台頭する中で、米FRBへの追加金融緩和圧力も高まっており、次回の米FOMCで量的緩和策が示されるようだと、金利を生まない資産である金にとっては支援材料となり、反発する可能性が高い。

このため、短期的には投資家のリスク選好姿勢を背景とした売り圧力にさらされ、ドル建てNY金は一時1800ドルを割り込む水準で推移すると考えられるが、売り一巡後は米FOMCを睨みながら安値拾いの買いに支えられる底固い値動きになると予想する。