山内 治/アナリストの目

昨日の呟き、明日の煌き <その9>
2011/12/15 16:24:13

 東京金の下落の始まりの切っ掛けは、8〜9日の欧州連合(EU)首脳会議でした。−−−会議では金融危機克服のため各国の財政規律強化などを盛り込んだ新たな条約を取りまとめることで合意したものの、金融街シティーを抱えるイギリスのキャメロン首相は“国益を守る保証がない”として不参加を表明。ドイツとフランスが主な要求を各国に飲ませた一方、イギリスは今後EU内で蚊帳の外に置かれることから対立が深まることになると、伝えられました。また、ECBの国債追加買い入れには消極的な姿勢が示されユーロ共通債の導入も見送るとの決定に至り、会議は閉幕したのでした。

 閉幕前の9日(金)の東京市場12時過ぎ、イギリスの条約不参加が公式発表前に外交筋から漏れたため、103円台後半で推移していたユーロは前半水準へ下落、歩調を合わせる形で国内金も売りが膨らむ展開となりました。「売り仕掛けが始まったのかな」と呟き、ユーロの打診売りを推奨。しかし、その後ロンドン市場の時間帯では、財政規律強化に向けた新条約の締結を一定の成果を収めたと判断されユーロは反発、20時過ぎに104台半ばまで買い進まれました。「むむ。104台前半でカットラインを設定していた、短期のユーロの売り方はショックだろうなぁ」。市場の判断が常に正しいとは限らないことを知ってはいるものの冷や汗が流れる数分でした。結局NY市場に入ってからは、売り買いが交錯しその日のユーロは103円台後半で終了。「この内容ではいずれまたユーロ売り圧力が強まるだろう」との想いを強く持ちながらの越週となりました。

 11日(日)の朝、そのアナリストは“週明け市場波乱含み EU、不安解消できず”との読売新聞の見出しの記事を読み終えた後、コーヒーカップを鋏と赤ペンに持ち替えました。「ふむ、ふむ」。

 12日(月)、数歩遅れた感はあったものの東京金売り推奨。ユーロが軟調に推移したため、東京金先限も48円安と続落で大引け。前週末76円安と合わせ、2日間で124円安。米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは12日声明を発表し、先週末のEU首脳会議の結果について“ほとんど新しい危機対策はなかった”と厳しい評価を下しました。そのうえで2012年1〜3月期に、EU27か国の国債格付けを見直す可能性があるとの見解を改めて示したのです。「ムーディーズの判断と同レベルかぁ」。

 13日(火)、ユーロ安止まらず、売りが売りを呼び東京金先限は78円安。勝負あり。次の売買チャンスの先手を執るため、ポジションとマインドをフラットに。

 14日(水)、続落。 15日(木)、イタリア5年債入札の結果が低調となったことを要因に東京金は3桁安。目先の底値をヒットさせる才を持ち合わせていないことに溜息一つ。「まだまだだなぁ」。

 −−−ユーロ安懸念の増幅は世界の株価を不安定にさせ換金売りが促されるため、ゴールドの地合いは悪化します。またユーロ安・ドル高の動きは、ドルと逆相関関係にあるゴールドの圧迫要因です。ユーロが下落し、ドルにも先安観が強い時は金融不安からゴールドは今年8月の時のように安全資産として買われるのですが、今はその流れではないようです。だから東京金は下がってしまったのです。理屈では解っていても、それを行動へ結び付けることは容易ではありません。相場とはそういうものです。104円台に突入し汗が流れたあの30分間、ユーロ売りを膨らませるマインドと資金を有していたなら、利食いの幅を100円でなく200円にしていれば、とたらればを言いたくなるのも相場です。もがきながらも前進し、自己の戦略を確立させれば良いのです。今回の相場で強く感じたことは「自国経済が絶好調のメルケルはユーロ安を懸念してはいない。目的はただ一つ、EU内の放漫財政国を絶対に許しはしない」ということ。だから「希望のない国と希望のない通貨からのエクソダスは止まらない」。

●アナリスト紹介
 第一商品(株)フューチャーズ24、山内 治
 現在、フューチャーズ24にて、FAX・メール情報に掲載する市況作成等を担当。国際情勢を軸にした、長期的な商品分析を得意とし、本社セミナーにおいても講師を担当する。

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