上野 隆/アナリストの目

NY原油は年初来安値を試すか
2015/08/05 15:40:06

 ニューヨーク原油(WTI)相場は3日に1バレル=45.08ドルまで下落し、3月20日(43.31ドル)以来の安値圏に値を沈めた。7月の中国製造業購買担当者景況指数(PMI)改定値が速報値から下方修正され、2013年7月以来、2年ぶりの低水準となったことが材料視された。
 中国では7月上旬の株価急落を切っ掛けに景気先行きに対する懸念が強まっており、同国のエネルギー需要減退観測は、原油市場の一段の弱気材料として受け止められ、市場心理を冷やす格好となっている。

 ロイター通信が7月31日に公表した調査報告によると、石油輸出国機構(OPEC)の7月の原油供給量は日量3201万バレル。過去最高だった6月(改定値3187万バレル)を14万バレル上回った。サウジアラビアなどの主要加盟国が原油価格の下落にもかかわらず、市場シェア確保のため生産を維持していることが改めて示された。
 加盟12カ国の7月の国別産油量は、いずれもロイター通信が調査を開始した1997年以来の最高を記録。最も増加したのはイラクで、南部からの輸出は日量306.4万バレル、トルコ・ジェイハン港経由の北部からの輸出も前月並みだった。サウジアラビアも過去最高だった前月以上の産油量を維持している。核開発をめぐる協議が最終合意に達したイランからの供給増加が見込まれるなど、OPEC加盟国の増産圧力が増している。
 また、米石油サービス会社ベーカー・ヒューズが前週末に発表した統計によれば、米国内の掘削リグ稼働数は前週比5基増となった。リグ稼働数は昨年10月の1609基から約60%減少したものの、7月初めの発表分で年初来初めて増加に転じた。不採算鉱区の閉鎖は一巡し、採算性の高い鉱区へのシフトが進んでいるとみられ、将来的な生産増の思惑が浮上している。

 ニューヨーク原油(WTI)相場は、3月18日に年初来安値となる1バレル=42.03ドルを付けた。同時期と比べて、供給面ではイランの輸出再開への思惑が加わっている。需要面でも中国の景気先行き懸念による減退観測が浮上するなど、足元の需給の緩みに変化はないとみられる。また、米国が年内にも利上げに踏み切るとの見方を背景に、為替相場でのドルの上昇期待が、エネルギー相場に相対的な割高観を強める可能性がある。目先は45ドルの節目が心理的な下値支持線になるが、同水準を割り込めばテクニカル売りが誘われ、年初来安値を視野に下値を探る動きになりそうだ。

●アナリスト紹介
 第一商品(株)フューチャーズ24、上野 隆
 現在、フューチャーズ24にて、FAX・メール情報に掲載する市況作成等を担当。広範な知識に基づいた情報分析や、テクニカルを駆使した商品分析を得意とする。