村上 孝一/アナリストの目

2018・ゴールドマーケット拾い読み・2
2018/03/13 15:40:35

 東京商品取引所の金先限は3月7日に4550円の高値を付けた後、NY金相場との円相場と綱引きとなる中、4400円台後半から4500円台前半でのもみあいとなっている。

『3月米FOMC、利上げペースが焦点』
 米労働省が3月9日発表した2月の雇用統計によると、景気動向を反映する非農業部門就業者数は季節調整済みで前月比31万3000人の増加となり、2016年7月以来1年7カ月ぶりの高水準。さらに、1月と17年12月の就業者数も上方修正されたことから、米連邦準備制度理事会(FRB)が3月20〜21日に開催する連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利上げに踏み切ることがほぼ確実視されており、市場ではFOMC後に公表されるメンバーの政策金利見通しに変化があるかどうかが注目されている。昨年12月に公表された見通しでは今年の利上げ想定回数は3回。
 市場では物価上昇の先行指標として注目される平均時給が前年同月比では2.6%増と市場予想の2.8%増を下回ったうえ、1月も当初発表の2.9%増から2.8%増に下方修正されたのを受けて、「米利上げペースが加速する」との観測が後退しており、今週発表される米物価統計に注目が集まっている。
 13日発表される2月の米消費者物価指数(CPI)は、1月は総合が前月比0.5%上昇と市場予想を上回り、食品とエネルギーを除いたコア指数は同0.3%上昇と1年ぶりの大幅な伸びを記録。2月の市場予想は総合、コアとも同0.2%上昇と、前月を下回っている。
 14日発表される2月の米卸売物価指数(PPI)は、1月は総合が前月比0.4%上昇と前月の横ばいからペースが加速、コア指数は同0.4%上昇と市場予想を上回った。2月の市場予想は総合が同0.1%上昇、コアが同0.2%上昇と、前月を下回っている。米CPI、PPIがともに市場予想通りの結果となり、伸び率が鈍化する状況となれば、今年の利上げ想定回数は3回で維持される可能性が高まり、ニューヨーク市場ではドル売り・金買いの動きになることが予想される。

『米輸入制限措置』
 トランプ米政権の鉄鋼・アルミニウム輸入制限措置が「貿易戦争」に発展するとの懸念が燻り続けている。
 欧州連合(EU)や中国は話し合いでの解決が最優先としているものの、報復の構えを維持しており、EUは総額28億ユーロ規模の報復関税発動も同時に検討している。一方、トランプ米大統領は11日、「EUが米国製品への不快な障壁と関税を撤廃すれば、米国もやめる。そうでなければ、欧州車などに税を課す。公平だ」とツイッターに書き込んだ。
 また、13日に投開票される米東部ペンシルベニア州での下院補欠選挙の結果も注目される。鉄鋼・アルミの輸入制限措置は、「ラストベルト」(さび付いた工業地帯)で実施されるこの補選にタイミングを合わせたとの見方も出ており、共和党候補が勝利する結果となれば、トランプ大統領が中国、EU、日本などに対し圧力を強め、鉄鋼関税などを材料に譲歩を迫ることが予想される。

『森友問題』
 森友学園への国有地売却に関する財務省の決済文書書き換えを受け、金融市場では安倍首相の政権基盤が揺らぐとの不安が強い。
 市場関係者が注視するのは責任が政権中枢にまで及ぶかだ。前日の東京外国為替市場では「麻生財務相が辞任を発表するのではないか」との警戒感が高まり、円相場は1ドル=106円90銭台から106円30銭台に上昇。麻生財務相は自らの辞任を否定しているが、辞任となれば「アベノミクス」が演出してきた円安・株高への期待が失速し、円高・株安に向かう可能性がある。

『金相場展望』
 13、14日に発表される米物価統計が前述のように市場予想通りの結果となり、平均時給に続き伸び率が鈍化すれば、NY金は為替のドル安と米長期金利低下で上昇する可能性がある。東京金も為替の円高に圧迫されたとしても上昇し、テクニカル上の長期的な強弱の節目となる200日移動平均線が通る4584円(3月13日現在)を突破することが予想される。
 また、米輸入制限措置で「貿易戦争」への懸念が再燃、「森友問題」が安倍政権の中枢にまで責任が及ぶ事態となれば、投資家がリスク回避の動きに出る一方、資金の逃避先として安全資産とされる円や金が買われることが見込まれる。その場合、東京金はNY金と円相場との綱引きになりそうだが、世界的な株安を招く状況となれば、金買いが勝る可能性が高いとみている。

●アナリスト紹介
 第一商品(株)フューチャーズ24、村上 孝一
 現在、フューチャーズ24にて、ファンダメンタルズ分析と市況作成を担当。時事通信社、日本経済新聞社に貴金属・石油市況等のコメントを提供中。

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