村上 孝一/アナリストの目

ゴールド、安全資産としての輝きを取り戻せるか
2018/07/06 16:46:03

 ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金相場は3日、中心限月の期近8月限が1238.80ドルと、2017年12月12日(1238.30ドル)以来約6カ月半ぶりの安値を付けた。ただ、その後は売られ過ぎ感からの買い戻しなどで反発、5日には1262.40ドルまで値を戻した。

 日本時間7月6日午後9時30分に6月の米雇用統計が発表される。市場予想は景気動向を反映する非農業部門就業者数が19万5000人増加と、前月の22万3000人増加から伸びが鈍化する見通し。失業率は3.8%と、2000年4月(3.8%)以来の低水準を記録した前月と同水準。また、物価上昇の先行指標として注目される平均時給の市場予想は、前月比が0.3%増と前月と同水準、前年同月比が2.8%増と前月の2.7%増を上回り、今年1月以来の伸び率になる見通し。
 6月12〜13日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)後に公表された参加者15人の経済・金利見通しでは、2018年の利上げ想定回数(中央値)が「4回」と、3月時点の3回から上方修正した。6月の米雇用統計が予想通りの結果となれば、米FRBによる「年内あと2回」の利上げを後押しする材料となり、発表直後のニューヨーク市場ではドル買い・金売りの動きになることが予想される。ただ、平均時給の前年同月比が市場予想を上回り2009年4月以来となる3%台に乗せることがなければ、ドル買い・金売りの動きが一巡した後は、金が買われる可能性がある。

 トランプ米政権が日本時間6日午後、中国が知的財産権を侵害したとして同国から輸入するハイテク製品に25%の追加関税を課す制裁措置を発動。対象は年500億ドル(約5兆5000億円)相当の輸入品。これに対し中国商務省の報道官は「必要な反撃をせざるを得ない」と述べ、直ちに報復措置を発動する方針を改めて示した。
 トランプ米政権の保護主義的な通商政策は中国だけでなく、同盟関係にある欧州連合(EU)やカナダなどにも貿易摩擦問題を引き起こしており、市場では世界的な貿易摩擦激化への懸念が広がっているが、投資家のリスク回避の逃避資金は米国債やドルなどに向かっている。また、世界的な貿易摩擦激化が世界経済の成長と原材料需要の減退を招くとの見方から、白金系貴金属や非鉄金属などとともに金も売られている。
 世界の二大経済大国である米国と中国が制裁と報復を繰り返す「貿易戦争」に突入し、世界経済の減速を招くことが懸念される中、世界の株式市場がリスク回避の売りで下落した場合、金相場に逃避資金が流入するかが注目される。為替のドル高基調が続くようだと、これまでのように逃避資金はドルや米国債に向かう可能性があるが、貿易摩擦が世界経済全体に悪影響を与えるとの見方が強まれば、金にも逃避資金が流入することが予想される。

 NY金は3日に急落したが、チャート上の節目とされる17年12月の安値1238.30ドルは維持した。ただ、本格的な反発局面を迎えるには、6月の米雇用統計で米利上げに関する弱材料出尽しとなるか、米中貿易摩擦による安全資産としての金買いが復活することが必要不可欠とみている。

 (注)上記の展望は7月6日夕方時点に作成されたものです。

●アナリスト紹介、第一商品(株)フューチャーズ24、村上 孝一
 現在、フューチャーズ24にて、ファンダメンタルズ分析と市況作成を担当。時事通信社、日本経済新聞社に貴金属・石油市況等のコメントを提供中。

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