長田 泰/アナリストの目

国際穀物、供給材料出尽くし、マクロ資金流入へ
2018/10/12 17:04:58

 来週のシカゴ穀物相場は堅調地合い継続しそうだ。
 11日に米農務省から公表された需給報告では、米国産トウモロコシの単収が引き下げられ、引き上げを予想していたマーケットにとってサプライズになった。先の全米四半期在庫報告の数字が、今回の需給報告の旧穀期末在庫に相当することから、9月の需給報告に比べ1億3800万ブッシェル+α(生産高上方修正分)が新穀供給の上方修正分となり、新穀期末在庫は前回の17億7400万ブッシェルから、場合によっては20億ブッシェルを超える可能性も意識されていたが、今回発表の期末在庫は旧穀期末在庫の増加分を大きく下回る3900万ブッシェルの上方修正に留まったことで、市場には強気な材料として受け止められた。
 一方、大豆は、単収は小幅引き上げられ、コーンほどのサプライズはないものの、作付け面積、収穫面積が小幅下方修正されたことで生産高は300万ブッシェル下方修正となり、新穀期末在庫は旧穀期末在庫の増加幅4300万ブッシェルを下回る4000万ブッシェルに留まり、こちらも一部に警戒された未曾有の在庫9億ブッシェルは回避され8億8500万ブッシェルと事前予想平均の8億9800万ブッシェルを下回った。

 今回の報告でほぼ供給面の材料は出尽くしと言え、その材料が『強気』だったことは市場ムードを大きく改善させることだろう。今後需給相場期入りし、市場の目は需要面の動きにより移るが、コーンの場合エタノールの動向について、今週アイオワ州でトランプ米大統領がガソリンにエタノールを15%混ぜた「E15」の夏季販売解禁に向けた法整備を環境保護局(EPA)に指示したと表明した。もちろん今回の需給報告のバランスシートにそれは反映されていないが、今後、来月以降の需給報告で生産高の上方修正観測が浮上したとしても、一方で需要にも上方修正可能な『カード』があることは、投機筋に容易に売り込むことを躊躇わせることだろう。大豆については、引き続き米中の貿易紛争の行方と、これから生育期に向かうブラジルとアルゼンチンの南米勢の天候状況が大きな材料となり注目される。
 今週中国税関総署の発表を元にロイター通信が算定した中国の9月の大豆輸入量は801万トン。前月の915万トン、前年同月の811万トンをいずれも下回ったものの、700万トン超程度という市場の事前予想は上回っていることは好感される。一方、南米の生産については今年不作だったアルゼンチンはもとより豊作だったブラジルも、米国産に代わる中国向け需要が強いことから増産体制にあるが、これについては既に相場に織り込み済みであり、今後は計画通りに生産できるか?天候が順調に推移するか?に掛かっている。

 今週NY市場発で起きた世界的な株価急落の動きも見逃せない。先週の当欄でも指摘したが、マクロ系のファンドの資金が金融市場から実物資産の商品(コモディティー)に向かう可能性があるからだ。今週9日、東京証券取引所のシステムに一部の証券会社からの注文が流れないというシステムトラブルが発生した。当初の取引所の説明ではある証券会社から通常の1000倍のデータが流されサーバーが処理しきれなかったためというが、その後の各種報道によると、それはある外資系証券会社から出されたデータであったことが明らかになっている。さらにこの証券会社は同日TOPIX先物に大量の売り注文を出しており、これもそのデータ過多の要因のひとつと見られ、その売り注文はマクロ系ファンドのものではないかと噂されている。
 NY株式市場も目先米国企業の好業績決算の発表が続くと予想され、また米国中間選挙を控えトランプ政権も黙って株式市場の下落を放置するとは思えない。早晩落ち着き処を探り出直ることだろう。但し、その際には市場参加者はこれまでよりも慎重な買い方、株を買うのと同時に『逆相関に動く傾向にある金(現物、ETF、先物)を買う』。または今回長期金利が上昇したことで株価のイールドレシオが低下(=株価の割高感強まる)したことから、割安銘柄への物色が株式市場に留まらず商品市場にも広がる可能性がある。これらの資金シフトは商品市場にはポジティブに働くことから、これから年末にかけては株価が堅調な動きを見せれば見せるほど、商品相場もこれに追随する展開になると見られ、商品独自の材料による動きのほかに外部市場の動きも穀物相場全体の下支えとなると予想する。

 (注)上記の展望は10月12日の夕方時点に作成されたものです。

●アナリスト紹介
 第一商品(株)法人部、長田 泰
 現在、法人部にて国際穀物を中心に商社顧客の取引を担当。2017年TOCOM農産物アナリスト育成セミナー修了者。時事通信、日本経済新聞の国際穀物市況等にコメントを提供中。ソイオイル・マイスター。

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