長田 泰/アナリストの目

シカゴ穀物、このまま2月安値に向かうか?
2019/01/11 17:31:12

 来週のシカゴ穀物相場は今週後半の弱地合いを引き継いで軟調推移とみる。
 今週前半は南米の天候懸念と北京で開催された米中次官級貿易協議への期待から買われたが、10日には、1日延長され9日に終わった米中貿易協議後も中国側から具体的な米国産農産物の購入数量等のアナウンスがなかったこと、ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)による同国産大豆生産高見通しの下方修正幅が市場予想を大きく下回ったことが失望売りを誘い、大豆、トウモロコシとも大幅安となった。

 11日の東京市場日中取引時間帯中に、ムニューシン米財務長官は記者団に対し、月内にも通商協議で中国の劉鶴副首相が訪米する可能性が高いとコメントした。これによりその後のシカゴ夜間取引では大豆、トウモロコシともに反発した。しかしながら、トランプ米大統領は10日、今回の次官級協議について「大成功を収めた」と自賛していたのとは裏腹に、中国からは米国産農産物購入の具体的アナウンスがなく、また、すぐに米国側から次回の通商協議開催を示唆する発言が出る等、『内憂外患状態』の米国側の焦りと中国側のしたたかさが垣間見える。
 というのも、米国側はトランプ政権が議会民主党とメキシコとの国境の壁建設予算で対立し、政府機関が一部閉鎖する状態が続いているが、中国は来月5日(火)が春節(旧正月)で大晦日にあたる4日(月)から1週間の休みに入る。例年であれば1月後半は春節前の駆け込み需要が高まる時期である。しかし、幸か不幸か中国側では中国全土で広がっているアフリカ豚コレラの影響で飼料需要が落ち込んでいると見られ、また、ブラジル産と米国産の価格差は既に接近している。季節的に春節前の大豆購入は米国産が中心になるが、これが春節休暇明けとなると、ブラジル産新穀との競合が始まる。中国側からは「我々は慌てて購入する必要はない」というポーズを示すことも可能だ。ムニューシン米財務長官が劉鶴副首相の訪米に米国政府機関の一部閉鎖は影響しないだろう、とあえて言及しているところを見ると、今回の協議は米国側からの要請が強いことが透けて見える。中国側の米国産農産物大量購入発表というカードはより有利な条件を引き出すためにも、春節休暇直前まで切られないのではないだろうか。

 11日予定されていた米農務省の需給報告は政府機関の一部閉鎖の影響で延期され、発表日未定のままである。現地の報道では、米国大豆農家が米中貿易戦争による損害補償として受け取るはずの小切手の発送も今回の政府機関の閉鎖で滞っているそうだ。米国産大豆の現物プレミアムは、昨年12月1日の米中首脳会談で追加関税の発動を90日間猶予決定後、急上昇したが、ここにきて軟化傾向にある。農家の換金売りが相当出ているのだろう。
 週間輸出検証高以外の農務省統計が停止状態にある中、来週は米油実加工業者協会(NOPA)が15日に公表する昨年12月の大豆圧砕高は、民間団体とはいえ需要動向を探る貴重な情報になる。搾油マージンは足元、昨年同時期より悪化しているが、マーケット関係者の関心は高くなるだろう。但し、トレンドを強気に持ち上げるだけの力は期待できない。流れとしては、中心限月19年3月限は、今月中、早ければ来週中にも885セント前後まで下落し、昨年9月以降の上昇トレンドラインの下限を試す展開を予想する。一方、トウモロコシは大豆ほど値動きは大きくならないと思われるが、大豆に連れ安し同じく19年3月限は370セント付近を試すこともありそうだ。

 (注)上記の展望は1月11日夕方時点に作成されたものです。

●アナリスト紹介
 第一商品(株)法人部、長田 泰
 現在、法人部にて国際穀物を中心に商社顧客の取引を担当。2017年TOCOM農産物アナリスト育成セミナー修了者。時事通信、日本経済新聞の国際穀物市況等にコメントを提供中。ソイオイル・マイスター。

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