村上 孝一/アナリストの目

NY金、米FRBのハト派的姿勢が支えに
2019/01/11 17:32:48

 ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金相場は、1月4日に発表された堅調な米雇用統計を受けた売りに下落、中心限月の期近2月限は1278.10ドルの安値を付けた。その後はNYダウ平均が昨年10月上旬以来となる5営業日(4〜10日)続伸したことが売り材料になる一方、米連邦準備制度理事会(FRB)高官らが追加利上げに対して慎重な姿勢を示したことが買い材料となり、1280〜1300ドルのレンジで推移。

 米FRBが9日に昨年12月開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を公表。金融市場の動揺や世界経済の減速懸念が強まる中、複数の参加者は「将来の利上げの適切な幅とタイミングは従来に比べ不透明になった」との見解を表明。多くの参加者は「インフレ圧力が強くない環境下では、さらなる利上げを『忍耐強く』判断する余裕があるかもしれない」とし、金利引き上げを急がない姿勢を示した。
 また、パウエル米FRB議長は4日に続き、10日の討論会でも、世界経済や金融市場の動向をにらみ、追加利上げは「忍耐強く柔軟に」判断すると明言、引き上げを急がない考えを改めて強調。さらに、今週はクラリダ米FRB副議長、ブラード米セントルイス連銀総裁、ボスティック米アトランタ連銀総裁、ローゼングレン米ボストン連銀総裁も利上げに慎重な姿勢を示した。
 米FRB高官らが追加利上げに対して慎重な姿勢を示したことを受けて、外国為替市場ではドルが売られ、主要6通貨で構成されるドル指数が9日に95.116と、昨年10月17日(95.058)以来2カ月半ぶりの安値を付けた。

 ニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は、昨年12月末に2万1712.53ドルと1年3カ月ぶりの安値を付けた後、米中の次官級貿易協議に対する期待感やパウエル米FRB議長が利上げを急がない姿勢を示したことが買い材料となり大幅続伸、10日には終値で2万4000ドルを回復。また、投資家の不安心理の指標となる米シカゴ・オプション取引所(CBOE)の恐怖指数(VIX)は終値で危険水準とされる20を割り込んでおり、年末年始にみられた投資家のリスク回避の動きは一服。ただ、米中次官級協議後の中国側の声明が知財保護などの具体的な内容に踏み込んでいなかったため、貿易摩擦回避への過度な期待は後退している。
 また、メキシコ国境の壁建設をめぐるトランプ米大統領と議会民主党指導部との対立は継続。連邦政府のつなぎ予算失効による政府機関の一部閉鎖は10日で20日目となり、11日には最長記録21日に並ぶ。トランプ大統領は1月下旬に開かれる世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)への出席を取りやめたとツイッターで発表。壁建設をめぐる対立の長期化を想定してダボス訪問取りやめを判断としたとみられる。

 来週も米FRB高官の講演が予定されており、追加利上げに対し慎重姿勢を示す発言が相次ぎ、ドルが対主要通貨で売られるようだと、NY金は心理的節目の1300ドルを突破する可能性がある。また、米中貿易摩擦や世界経済の減速懸念に加え、米政府機関鎖の長期化への懸念など、投資家のリスク回避の動きを強める材料は継続しており、リスク回避による安全資産としての金買いが再び強まる可能性がある。
 また、来週は15日に英議会で欧州連合(EU)離脱合意案の採決が予定されている。メイ英政権は10日、議会に提出したEU離脱合意案が否決された場合、議会休会日を除く3日以内に対案を提示する方針を表明。合意案には与野党の反対論が渦巻いており、現状では否決される公算が大きい。離脱案をめぐり混乱が生じた場合、英ポンドやユーロが対ドルで売られる可能性があり、ドル指数が上昇するようだと、ドル建てで取引される金は割高感から売られる場面が予想される。ただ、米FRBのハト派的姿勢が支えとなり、安値は買い拾われるとみている。
 (注)上記の展望は1月11日夕方時点に作成されたものです。
●アナリスト紹介 第一商品(株)フューチャーズ24、村上 孝一
 現在、フューチャーズ24にて、ファンダメンタルズ分析と市況作成を担当。時事通信社、日本経済新聞社に貴金属・石油市況等のコメントを提供中。

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