村上 孝一/アナリストの目

NY金、3月米FOMC次第で高値更新も
2019/03/15 16:45:11

 ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金相場は、2月の米雇用統計や2月の米消費者物価指数と卸売物価指数を受けてドルが対ユーロで下落したうえ、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ休止観測が強まったことが買い材料。また、英国の欧州連合(EU)離脱問題が混迷を深める中、安全資産とされる金が買われたことから上昇、13日には1311.60ドルと3月1日以来の高値を付けた。ただ、14日には英国によるEUからの「合意なき離脱」がひとまず回避されたことを受け、安全資産として買われていた金は利食い売りに押された反落、1300ドルを割り込んだ。

 12日発表された2月の米消費者物価指数(CPI)の前年同月比は1.5%上昇と2016年9月以来2年5カ月ぶりの小幅な伸びにとどまった。コア指数は前月比0.1%上昇と2018年8月以来の小幅な伸び。また、13日発表された2月の米卸売物価指数(PPI)の前年同月比は1.9%上昇と2017年6月以来の小幅な伸び。コア指数の前年同月比は2.3%上昇と2017年12月以来の低い伸び。米CPI、PPIでインフレ圧力の落ち着きが確認されたことは、利上げに慎重な米連邦準備制度理事会(FRB)の姿勢を後押しする内容となり、市場では利上げは当面見送られるとの観測が広がっている。
 来週は米FRBが3月19〜20日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催。日本時間21日午前3時に声明と、参加者の経済・政策金利見通し、同21日午前3時30分にパウエルFRB議長の記者会見が予定されている。
 パウエル議長は10日、米CBSテレビのインタビューに応じ、景気情勢を「忍耐強く」見極めると改めて強調し、利上げを当面休止することが適切との考えを示すなど、3月に入り米FRB当局者からも「利上げに対し忍耐強くある姿勢」が相次いで表明されている。前回の会合では緩やかな利上げを一時休止する方針への転換が決定されたが、今会合でも利上げ休止方針を継続することが予想される。
 また、米FRBが2月20日に公表した1月29〜30日開催のFOMC議事要旨では、金融危機後の量的緩和策で買い入れた米国債などの資産圧縮策は、「年内停止の計画を近く公表することが望ましい」との見解でおおむね一致していたことから、今会合で縮小停止が発表される可能性がある。

 英議会下院は14日、29日に迫った欧州連合(EU)離脱を少なくとも6月末まで3カ月間延期することをEUに要請する政府提案を賛成多数で可決したことを受け、市場では、経済・社会的な混乱がひとまず回避されるとの安心感が広がった。ただ、政府提案は下院がこれまで2度否決した離脱合意案を20日までに可決することを条件としていることから、合意案が可決される目途はたっておらず、英国のEU離脱をめぐる不透明な情勢が続く可能性がある。
 また、3月末に米中首脳会談が開催されると報道されていたが、ムニューシン米財務長官は14日、記者団に対し、米中貿易協議の決着を目指す首脳会談について「今月末の開催について話し合ってはいたが、行わないだろう」と述べ、4月以降にずれ込むとの見通しを明示した。ブルームバーグ通信は4月末に米国で開催する案が浮上していると伝えており、市場では貿易協議の長期化に対する警戒感が浮上している。

 NY金は3月米FOMCで前述のように利上げ休止方針継続と資産圧縮策縮小停止のほかに、参加者の政策金利見通しで2019年の利上げ想定回数が前回の2回から下方修正されるなど、ハト派色が一段と濃い結果となり、為替のドル安が進行する展開となれば、期近4月限は中心限月ベースで2月20日に付けた今年の高値1349.80ドルを突破する可能性がある。また、3月米FOMCがこれまでのハト派姿勢を踏襲するのにとどまった場合でも、前述の英国のEU離脱と米中貿易協議が安全資産とされる金の支援材料となれば、20日移動平均線(3月14日現在:1311ドル付近)を試しに行く展開が予想される。

 (注)上記の展望は3月15日夕方時点に作成されたものです。
●アナリスト紹介 第一商品(株)フューチャーズ24、村上 孝一
 現在、フューチャーズ24にて、ファンダメンタルズ分析と市況作成を担当。時事通信社、日本経済新聞社に貴金属・石油市況等のコメントを提供中。

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