盛川 貴洋/アナリストの目

東京白金・石油見通し
2019/03/29 17:40:00

<東京白金>
 今週の東京白金は週明けに急落し、25日安値2970円をつけた後は、一時買い戻されたが、対ユーロでのドル高をみたNY白金の下落やパラジウムの急落になびいた売りに押されて週末に下落した。ただ、先限が3000円の心理的な節目を維持して越週。来週は、最近の投資資金の流入の動きを背景に、同水準を維持できれば買い戻しの動きが強まると考えられるため、値固めを試す展開になると予想される。
 スイスのローザンヌで25日から開かれたFTコモディティ・グローバル・サミットで白金鉱山大手、英アングロ・アメリカンのマーク・キューティファニ最高経営責任者(CEO)が、パラジウム相場を「バブル」と表現。需要の8割を占める自動車メーカーがパラジウムの代わりにより安価な白金を使う可能性があるとの見方を示したことが、パラジウム急落の引き金となったとされる。ただ、四半期末を控えた利食い売りの側面もあるとの声も聞かれた。

<東京石油>
 米エネルギー情報局(EIA)が27日発表した22日までの1週間の米石油在庫統計によると、前週の国内原油在庫は280万バレル増と、市場予想(120万バレル減)に反して増加。原油輸出も日量50万6000バレル減少したことで売り圧力が強まった。また、28日にはトランプ大統領が「石油輸出国機構(OPEC)が原油供給を増やすことが非常に重要だ。世界市場は脆弱(ぜいじゃく)で、原油価格は高くなり過ぎている」とツイート。この投稿をきっかけにOPECによる生産拡大への警戒感が急浮上し、市場では売りが活発化。心理的節目の60ドルが上値抵抗線との指摘もある。
 米国によるイランとベネズエラに対する制裁措置で両国の輸出が制限されていることに加え、OPEC主導の協調減産で需給が均衡化するとの期待などが引き続き相場を下支えしている。このほか、ベネズエラで今週初めに発生した停電の影響により、同国内の重質原油改質装置4基が27日午後時点で依然稼働を停止しているとの報が流れたことなどは支援材料視されている。
 しかし、EIAは26日、2018年の米原油生産量がシェールオイルの活況を背景に45年ぶりに世界首位に返り咲いたとの報告書を発表。石油輸出国機構(OPEC)が主導する形で協調減産が進められる中、米国内でのこうした増産の流れが国際市場の需給均衡化を遅らせるとの警戒感も根強い。また、石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟国による協調減産をめぐり、ロシアの離脱を食い止めるためにサウジアラビアが説得に苦慮していることが、複数の関係筋の話で明らかになった。ロシアは現在の協調減産について9月末までの3カ月の延長しか合意せず、年末までの延長は保証されない可能性がある。ロシアが協調態勢から外れれば原油価格は低下すると考えられることも中長期的な見通しを圧迫しており、原油相場は上値の重い展開が続くと予想される。

(注)上記の展望は3月29日夕方時点に作成されたものです。

●アナリスト紹介
 第一商品(株)フューチャーズ24、盛川 貴洋
 現在、フューチャーズ24にて、FAX・メール情報の市況作成等を担当。商品市場だけでなく、マクロ経済から金融市場まで守備範囲が広く、本質をついた鋭い分析が持ち味。「商品アナリスト(貴金属)・東京商品取引所認定」を取得。