長田 泰/アナリストの目

シカゴトウモロコシ、次の市場の焦点は?
2019/04/05 16:40:09

 来週のシカゴ穀物市場は先週末の急落後の反動高となった今週の動きは一巡し、次の材料を消化する週となりそうだ。テクニカル的には一時的とはいえ先週の急落で下抜けとなったが、長く続いたレンジ相場が崩れたという点では目先上下ともにボラタイルな展開も想定できる。

 目先の注目材料は以下の4つ
・4月の需給報告(9日)
・ファンドポジションの変化
・米国産地の天候
・米中貿易協議の行方

 トウモロコシは3月末に発表された全米四半期在庫報告が市場予想を2億7000万ブッシェルも上回り、作付け意向面積も2月の農務省展望会議の予想を80万エーカー近く上回る弱気な内容だったことで発表当日のシカゴトウモロコシ相場は軒並み一代安値を更新、期近5月限は期近としては18年11月以来の安値となる356セント台に沈んだ。
 在庫の重さが今回の需給バランスにどう反映されるか。発表後の早い段階から18年産の生産高もしくは期初在庫を低く見積もり過ぎていたとの見方が浮上していたが、今回の報告では供給面の修正にまでは踏み込まず需要サイドの修正に留めると見る。需要サイドで下方修正が見込まれるのは飼料需要とエタノール需要だ。北米の今冬の悪天候の影響もあるのかガソリン価格の低下によりエタノール生産も低調であり、飼料需要に関してもカンザス市場の標準品の硬質冬小麦の輸出が振るわず、通常値位置を同市場より下にするシカゴ相場を下回る状態が続いている。悪天候の影響もあり、小麦が飼料向けにもかなり使用されている可能性がある。18/19年度の期末在庫は3月の需給報告で2月から1億ブッシェル引き上げられ18億3500万ブッシェルに修正された。四半期在庫を踏まえ2カ月連続の引き上げの公算だが、20億ブッシェルの大台乗せとなると改めて在庫の重さを嫌気される(弱気材料視される)可能性があろう。

 一方、時系列では前後してしまうが、5日引け後に発表されるCFTC建玉報告(4月2日現在)も重要指標だ。先週発表された建玉報告(3月26日現在)ではトウモロコシのファンドポジションは週末の農務省報告を前にポジション調整されていたことが示され、26万枚以上あった売り越し幅は20万枚にまで減少した。しかしこれだけの弱気材料が出た後であればファンドポジションは改めて売り越しが拡大していると考えるのが自然だろう。特に29日の出来高は112万枚強と今年の同市場の1日平均出来高40万枚の3倍近くに膨らんだ。情報ベンダーの推測では2日現在のファンドポジションは23万枚強の売り越しとしている。ファンド勢のスタンスを確認する上で今週の建玉報告は要チェックだ。

 先週末に四半期在庫と同時に発表された作付意向面積は、市場予想以上に大豆からトウモロコシへの作付シフトが見込まれ、昨年はほぼ同水準だった両者の作付面積はトウモロコシ9279万2000エーカー、大豆8461万7000エーカーと示された。ただ、集計が3月初旬であり、中旬以降の米国の大規模洪水の状況が織り込まれていないことから、既にここから100万〜150万エーカー程度はトウモロコシ減・大豆増が織り込まれているとの声もある。
 トウモロコシ単体で見ると、作付意向面積もかなり弱気な材料と言えるが、両者の合計面積は昨年実績と比較すると約92万エーカー小さく、小麦を合わせると296万エーカーも小さくなっている。そこに今回の春の作付シーズンの冷涼多雨気候の長期化は天候相場前半と後半の状況をガラッと変える可能性があるため、新穀限月(トウモロコシ12月、大豆11月限)以降は期近の値動きの重さに抑えられながらも天候プレミアムを維持しながらの値動きとなりそうだ。

 さて、昨年来の穀物相場で引き続きワイルドカードになりそうなのが、米中貿易戦争の行方だ。米中の閣僚級協議がワシントンDCにて3日より再開されている。両国間の貿易交渉は4月中の合意を目指しており、制裁関税、撤廃時期などを巡る詰めの協議に入っている。中国の劉鶴副首相が3日よりライトハイザー米通商代表部代表やムニューシン米財務長官らと協議を行い、4日にはトランプ大統領と会談した。楽観的な見通しや慎重な意見など硬軟入り混じって聞こえてくるが、来週以降は当協議の具体的進捗が明らかになると見られ、シカゴ相場に影響を与える可能性が大きい。引き続き当協議の進捗には注視していきたい。

 (注)上記の展望は4月5日夕方時点に作成されたものです。

●アナリスト紹介
 第一商品(株)法人部、長田 泰
 現在、法人部にて国際穀物を中心に商社顧客の取引を担当。2017年TOCOM農産物アナリスト育成セミナー修了者。時事通信、日本経済新聞の国際穀物市況等にコメントを提供中。ソイオイル・マイスター。

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