村上 孝一/アナリストの目

NY金、下値は堅い
2019/04/12 16:50:07

 ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金相場は、為替のドル安による割安感に加え、米欧貿易摩擦の激化懸念や世界的な景気減速懸念を背景に安全資産としての買いが入ったことから、中心限月の期近6月限は4月10日に1314.70ドルと2週間ぶりの高値を付けた。しかし、11日には良好な雇用環境と物価の上振れを示す米経済指標を受けた為替のドル高で割高感が生じたことから売り圧力が掛かった。さらに1300ドルの節目を割り込んだことでテクニカル要因での売りも出たことから反落、1292.90ドルと約1週間ぶりの安値を付けた。

 10日発表された3月の米消費者物価指数(CPI)は前月比0.4%上昇と2018年1月以来の大幅な伸び率。11日発表された3月の米卸売物価指数(PPI)は前月比0.6%上昇と2018年10月以来の大幅な伸び率となり、ドル買い材料となった。しかし、CPI、PPIともエネルギーと食料品を除くコア指数は小幅な伸びにとどまっており、米連邦準備制度理事会(FRB)の年内の利上げ見送り姿勢に変わりはないだろう。
 また、4月5日に発表された3月の米雇用統計では、景気動向を示す非農業部門就業者数が前月比19万6000人増加と大幅に鈍化した前月から急回復。ただ、物価上昇の先行指標として注目される平均時給は、前年同月比で3.2%増と伸び率は前月と市場予想(3.4%)から鈍化しており、賃金上昇によるインフレ加速の兆候は出ていない。

 米中貿易摩擦が継続している中、今週は米欧間の貿易摩擦激化への懸念が再燃している。米欧の航空機大手への補助金を巡る通商紛争で、トランプ米大統領は9日、欧州連合(EU)からの輸入品110億ドル(約1兆2千億円)相当に報復関税を課す用意があるとツイッターで表明。これに対しEUの欧州委員会も報復関税の準備を進めていることを明らかにしており、米欧の貿易摩擦が強まる恐れが出ている。
 また、国際通貨基金(IMF)は4月9日、世界経済見通しを改定し、2019年の成長率予想を3.3%と、1月時点から0.2ポイント下方修正した。IMFは3カ月ごとに見通しを下方修正しており、19年の成長率予想の下方修正は3回連続。

 NY金は前述の米欧貿易摩擦の激化懸念や世界的な景気減速懸念のほか、10日に開催された欧州中央銀行(ECB)定例理事会と3月開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、ハト派的な姿勢を維持する方針を示唆したことも支援材料となっており、3月7日に付けた直近安値1280.80ドルを割り込む可能性は低いとみている。
 また、来週は米国、中国、ユーロ圏の経済指標発表が予定されている。経済指標悪化で世界的な景気減速懸念が一段と強まれば、安全資産とされる金が買われる動きが予想され、3月25日に付けた直近高値1324.50ドルを試しに行く可能性がある。ただ、中国とユーロ圏の経済指標悪化がユーロ売りにつながり、主要6通貨で構成されるドル指数が構成比率の高いユーロ安により上昇する展開となれば、ドル建てで取引されるNY金は割高感から圧迫され、同高値突破に失敗する可能性がある。

 (注)上記の展望は4月12日夕方時点に作成されたものです。

●アナリスト紹介 第一商品(株)フューチャーズ24、村上 孝一
 現在、フューチャーズ24にて、ファンダメンタルズ分析と市況作成を担当。時事通信社、日本経済新聞社に貴金属・石油市況等のコメントを提供中。

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