長田 泰/アナリストの目

シカゴトウモロコシ、旧穀は売り方優勢な状況が続く
2019/04/20 2:50:32

 来週のシカゴトウモロコシ相場は、米中西部での作付け状況が市場の関心事であるが、まだ作付に時間的余裕があるため余り材料視はされず、むしろ天候が改善に向かうようなら一段安の要因として受け取られるだろう。来週は後半から理想的な天候に恵まれるとの予報も出ており、また、5月物オプションの納会も控えていることから、週後半にかけて一段安の可能性も警戒したい。

 「保ち合い放れ(もちあいばなれ)につけ」と相場格言にあるが、シカゴトウモロコシ相場の今年の相場を見ると、20セントに満たない狭いレンジでのもみ合いを続けた後、それを下抜け一時的に勢いを増すも再びレンジ相場を作るという展開を続けている。保ち合い放れにつけという相場格言の理由としては、レンジ相場の間に蓄積されたエネルギーがレンジを抜けた場面で解き放たれ相場変動が抜けた方向に大きくなるという説明がされる。

 さて、そのエネルギーの蓄積というものはどういったものか?先物市場の場合、一定期間で取引が満期(納会)を迎える取引であり、保ち合い期間が長くその間に成立した約定が取組高として残るとその蓄積が多いほど、レンジを抜けるタイミングでは損計算になる買い方(売り方)は手仕舞い売り(買戻し)が出やすくなり下げ幅(上げ幅)が大きくなる。
 また先物先進国の米国ではオプション市場も発達している。トウモロコシのそれも各限月活発に取引されているが、オプションの建玉も相場エネルギーとして働く。オプション取引の価格であるオプション料(プレミアム)は原市場のボラティリティの大小により変化するが、現在のトウモロコシのように値動きの小さいものはプレミアムは安くなりやすいため、オプションの取組高は、原市場価格に比較的近い権利行使価格に溜まりやすくなる。オプション市場の権利行使価格別取組高もその数量の多い権利行使価格は原市場の抵抗線として働く。
 期近5月物から来年の3月物までのトウモロコシオプションの権利行使価格別取組高グラフを載せたが、これを見ると特に旧穀限月取組高の集中している権利行使価格がプットとコールで非常に接近していることがわかる。来週納会を迎える5月物はコールの最大取組高権利行使価格375セント、プットは370セントとほぼ同値圏。そして原市場価格は360セントを割り込んでいるため、プットの権利行使可能取組高(インザマネーポジション=グラフの左上ゾーン)はコールのそれ(グラフの右下ゾーン)を圧倒的に上回っている状態である。インザマネーポジションが多いということはいつでも権利行使して原市場で反対売買する、もしくはオプション自体の反対売買(高いプレミアムで売り戻す)で利益を確定することが可能な状態である。
 プットのインザマネーが多いのは新穀限月にも共通しているが、旧穀限月は期近になるほど大きい取組高がプットコールで接近している。プットの買い方が権利行使を進め玉が解れれば、損きり決済しした強気派、利食い決済した弱気派双方が仕切り直しとなりやすくなるのだが、オプションポジションの利食いを進めず、プットオプションの売り方の動きを制限させる(高値での買いを強いられる可能性を残して原市場での防戦買いをしにくくする)など、現状非常に弱気派優勢な内部要因と言える。

 弱気派がさらに極端な安値にプットの取組高が増加させ、下げ人気が一段と高まるというような状況にはなっていないものの、現在の原市場の価格は期先に行くにつれ高くなる順ざやの状態にあるため、このままの状態が続くのであれば、納会に近づくに連れて安くなる、所謂サヤ滑りというパターンが最もかのうせいが高いのではないだろうか。

 もちろんこれから天候相場が本格化するわけであり、天候次第では新穀限月には買いが集まることも考えられるが、潤沢な在庫を背景とした期近のファンダメンタルズ、ファンドの売り人気姿勢継続、オプション市場での弱気派優勢な内部要因といった期近限月の地合いの重さはまるで泥沼のように新穀限月のあしを引っ張るものになりそうだ。

 (注)上記の展望は4月19日夕方時点に作成されたものです。

●アナリスト紹介
 第一商品(株)法人部、長田 泰
 現在、法人部にて国際穀物を中心に商社顧客の取引を担当。2017年TOCOM農産物アナリスト育成セミナー修了者。時事通信、日本経済新聞の国際穀物市況等にコメントを提供中。ソイオイル・マイスター。

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