村上 孝一/アナリストの目

貴金属マーケット拾い読み・3
2019/06/11 15:42:07

 6月7日発表された5月の米雇用統計は、景気動向を示す非農業部門就業者数は前月比7万5000人増加と、4月の22万4000人増(改定)から伸びが急減速し、市場予想の18万5000人増も大きく下回った。また、物価上昇の先行指標として注目される平均時給が前年同月比で3.1%増と、市場予想の3.2%増は下回ったため、米連邦準備制度理事会(FRB)が景気を下支えするため、近く利下げに踏み切るのではないかとの観測が一段と拡大。為替のドル高・ユーロ安進行で、ドル建てで取引される金は割安感で買われたほか、金利の付かない資産である金の魅力を高める材料にもなった。
 ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金相場は前述の要因により、7日に期近8月限が中心限月ベースで2月20日に付けた今年の最高値1349.80ドルを上回り、一時は1352.70ドルと、2018年4月18日(1357.70ドル)以来約1年2カ月ぶりの高値を付けた。しかし、週明け10日にはニューヨーク株式相場が米利下げ観測やトランプ米政権がメキシコに対する制裁関税の発動を見送ったことが好感され急伸し、投資家のリスク選好姿勢が強まる一方、安全資産とされる金は売られ、同日には1329ドルまで下落した。
 トランプ米大統領は7日夜、メキシコと不法移民対策で合意したとして、10日に実施予定だったメキシコ産品への制裁関税発動を「無期限に見送る」とツイッターで表明したことを受け、両国間の貿易戦争がひとまず回避された。ただ、世界の二大経済大国である米国と中国の貿易摩擦は、投資家のリスク回避の動きを強める材料としてくすぶり続けている。
 トランプ米大統領は10日、米CNBCテレビとのインタビューで、今月下旬に大阪で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)の際に米中首脳会談が実現しなければ、直ちに中国からの輸入品ほぼすべてに追加関税を拡大することになると語った。一方、中国外務省の耿爽副報道局長は10日の記者会見で、米中首脳が月末のG20大阪サミットで会談するかどうかについて「具体的な状況があれば適宜公表する」と述べるにとどめ、態度を明確にしていない。
 東京商品取引所の金先限は6月10日の夜間取引で、NY金が米雇用統計を受けて上昇したことに支援され、一時は4666円と、3月28日(4672円)以来約2カ月半ぶりの高値を付けた。その後はNY金が米株高などで下落したことで売られ、11日には4615円まで下落。
 NY金は米株高などを背景とした買い方の利益確定売りなどに押されている。今週発表される米経済統計次第ではさらに売られる可能性があり、東京金先限は100日移動平均線(6月11日現在:4598円付近)を試しに行く展開が予想される。ただ、米利下げ観測や米中貿易摩擦が引き続き、金相場を支える材料となり、100日移動平均線付近では安値拾いの買いなどが入り、下値は堅いとみている。

 東京商品取引所の白金先限は6月6日に2913円と2週間ぶりの高値を付けた後、NY白金相場安や為替の円高・ドル安などに圧迫され反落したが、2800円台は維持している。市場人気を表す指標となる取組高は引き続き、増加傾向にあることは、2800円付近で値ごろ感からの買いが入っていることが窺える。 目先は2800円を維持できるかがポイントで、同水準を割り込むようだと、6月3日に付けた直近安値2770円を試しに行く展開が予想される。一方、2800円割れに強い抵抗をみせれば、200日移動平均線(同:2951円付近)が上値目標になるだろう。

●アナリスト紹介
 第一商品(株)フューチャーズ24、村上 孝一
 現在、フューチャーズ24にて、ファンダメンタルズ分析と市況作成を担当。時事通信社、日本経済新聞社に貴金属・石油市況等のコメントを提供中。

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