村上 孝一/アナリストの目

NY金、米FOMCが焦点
2019/06/14 16:47:38

 来週は米連邦準備制度理事会(FRB)が6月18〜19日開催する連邦公開市場委員会(FOMC)が注目材料。
 7日発表された5月の米雇用統計は、景気動向を示す非農業部門就業者数は前月比7万5000人増加と、4月の22万4000人増(改定)から伸びが急減速し、市場予想の18万5000人増も大きく下回った。物価上昇の先行指標として注目される平均時給が前年同月比で3.1%増と、市場予想の3.2%増は下回ったため、米FRBが景気を下支えするため、近く利下げに踏み切るのではないかとの観測が高まった。
 また、12日発表された5月の米消費者物価指数で、変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数が前月比0.1%上昇と市場予想(0.2%上昇)を下回ったうえ、13日発表された5月の輸入物価指数が前月比0.3%下落と市場予想(0.2%下落)を下回り5カ月ぶりのマイナスとなったことは、物価上昇圧力の弱さを示す内容だったことから、市場では米FRBが年内に利下げを行う論拠が強まっていると受け止められている。さらに、13日発表された最新週の米新規失業保険申請が22万2000件と前週比3000件増加し、市場予想の21万6000件を上回り、労働市場の減速懸念を高める内容となったことも年内の利下げ観測を高める材料となっている。

 来週の米FOMCでは、米中貿易摩擦激化で景気減速への懸念が強まっており、政策金利の引き下げ時期をめぐる議論の行方が焦点。CMEグループのフェドウオッチによると、13日現在の利下げ確率が6月FOMCは約29%、7月FOMCが64.5%となっている。
 6月FOMCで政策金利が据え置かれた場合、利下げを見込んでいた投機筋が売りに動く可能性がある。しかし、7月FOMCでの利下げを示唆する結果となれば、年内利下げ観測を一段と強める結果となり、金利の付かない資産である金にとっては支援材料となるうえ、為替がドル安に振れればドル建てで取引されるNY金は割安感からの買いも期待される。
 ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金相場は米利下げ観測に加え、中東情勢が緊迫化するとの警戒感が買い材料となり上昇、6月14日のアジア時間帯での取引では一時、1350ドルの節目を突破。6月米FOMCが前述のような結果となれば、2018年4月に付けた同年高値1369.40ドルを試しに行く展開が予想され、突破すれば2013年9月以来となる1400ドルが視野に入るだろう。
 一方、6月米FOMCで7月FOMCでの利下げが示唆されなかったとしても、年内の利下げを示唆する結果となれば、NY金は引き続き、米利下げ観測が支援材料となるだろう。

 また、中東の原油輸送の大動脈であるホルムズ海峡近くのオマーン湾では13日、タンカー2隻が攻撃を受けた。ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は「イランやその代理人による、米国や同盟国に対する攻撃の一環だ」と主張したことにより、米イラン間の軍事的緊張が高まるのではないかとの懸念が広がる中、安全資産とされる金が買われた。今後、米国とイラン間の緊張が一段と高まる事態となれば、安全資産としての金の魅力も強まることが予想される。

 (注)上記の展望は6月14日夕方時点に作成されたものです。

●アナリスト紹介 第一商品(株)フューチャーズ24、村上 孝一
 現在、フューチャーズ24にて、ファンダメンタルズ分析と市況作成を担当。時事通信社、日本経済新聞社に貴金属・石油市況等のコメントを提供中。

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