村上 孝一/アナリストの目

NY金、高値更新場面が続く
2019/08/16 16:44:48

 米通商代表部(USTR)は8月13日、9月1日に実施する中国からの輸入品ほぼすべてに制裁関税を拡大する「第4弾」について、スマートフォンや衣類など一部製品への発動を12月15日まで延期すると発表。しかし、中国財政省は15日、米国が対中制裁関税「第4弾」の9月1日発動を正式発表したことに対し、「対抗措置を取らざるを得ない」と警告する声明を出した。さらに、トランプ米大統領は15日、対中制裁関税「第4弾」をめぐり、中国政府が対抗措置を取った場合は「究極の報復手段」で応じる構えを示した。中国財政省が15日の声明で対抗措置に言及したことを踏まえた発言で、米中貿易摩擦は予断を許さない状況が続いている。
 世界二大経済大国である米国と中国の貿易摩擦は世界経済に打撃を与えている。7月の中国鉱工業生産は前年同月比4.8%増と伸び率は前月から1.5ポイント低下し、単月としては2002年2月以来、17年5カ月ぶりの低い伸び。また、欧州最大の経済大国ドイツの4月〜6月期の実質GDP(国内総生産)は、前期比0.1%減。第2位の英国も同0.2%のマイナスに落ち込んだ。ユーロ圏全体でも同0.2%増にとどまり、景気に急ブレーキがかかっている。

 また、世界的な景気後退不安が台頭する中、米金融市場では投資家のリスク回避の動きで安全資産とされる米債券に資金が逃避。14日には一時、不況の予兆とされる「長短金利逆転(逆イールド)」という異例の現象が、米住宅バブルが崩壊した2007年6月以来出現。10年に及ぶ景気拡大が続いた米国も黄信号がともった。
 米金融市場では景気後退の予兆とされる「長短金利逆転(逆イールド)」現象が出現したことで、景気後退入りへの警戒感が広がる中、トランプ米政権の米連邦準備制度理事会(FRB)批判や利下げ圧力が一段と強まっていることから、米FRBが9月17〜18日開催する連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げを加速するとの観測が浮上している。

 ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金相場は、中心限月期近12月限が8月13日に1546.10ドルと年初来高値を更新し、2013年4月12日(1564.20ドル)以来6年4カ月ぶりの高値を付けた。主要6通貨で構成されるドル指数の上昇や、テクニカル指標が相場の買われ過ぎを示していることなどが圧迫材料となっている。しかし、米中貿易摩擦や世界的な景気後退への不安は根強く、投資家の不安心理の指標となる米シカゴ・オプション取引所(CBOE)の恐怖指数(VIX)は、危険水準とされる20を上回ったまま高止まりしている。また、米追加利下げ観測も継続しており、目先も高値更新場面が続くことが予想される。

 (注)上記の展望は8月16日夕方時点に作成されたものです。

●アナリスト紹介 第一商品(株)フューチャーズ24、村上 孝一
 現在、フューチャーズ24にて、ファンダメンタルズ分析と市況作成を担当。時事通信社、日本経済新聞社に貴金属・石油市況等のコメントを提供中。「商品アナリスト(貴金属)・東京商品取引所認定」を取得。

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